サイトアイコン 大庭可南太の「ゴルフをする機械」におれはなる!

第七章 「スイング」のバリエーション(その2)

緊急事態宣言解除とは全然関係ないですが、先日YouTubeのデビューもいたしまして、おかげさまを持ちまして順調に試聴回数もチャンネル登録者数も伸びているのですが、出来るならばブログ記事を週二回に動画を週一回くらいのペースで作っていきたいと思っております。現状は動画の方はまだ慣れていない分、制作に若干時間がかかりますので、ちょっとブログの方は淡々とした翻訳記事主体になりますことお許しください。といいつつゴルフの中継が増えればまた余計な記事も増えるんですけど。

前回記事はこちらです。

「やっぱコロナたいしたことないかも」と感じてる方も多いと思うのですが、「なぜ日本(やアジア諸国)ではこれだけ感染者数も死亡者数も少ないのか」が科学的根拠をもって解明されない限り、安全と認められても「安心は出来ない」という感情が多数派を形成している状態ではこの自粛ムードは収まらないのでしょうね。統計的には「正月のモチ」よりも安全なように見えるのですが。医療崩壊よりもメディアが崩壊するほうが早いのではないかと思います。統計的には数千人に一人しか感染しないレアな病気なのに、なぜか有名人の罹患が多い...
第七章 「スイング」のバリエーション(その1) - 大庭可南太の「ゴルフをする機械」におれはなる!

一方で、少しでも飛距離を稼ぐために、過度なリストアクションを意図的にストロークに導入しようとすることは、ほぼ例外なくトラブルを誘発する。上級者の場合、こうした際に意図した打ち出し方向よりもはるかに左側にボールがそれることが多い。これは少しでも距離を出そうとして、テコの原理が発動したために右手のアクションが強くなりすぎるからである。思い出して欲しいのは、左手は常にクラブの末端に位置する存在であり、アクション全体をガイドし、方向付けるものなのだ。もし右手に過度のパワーを注入することを許してしまえば、その余剰分のパワーはテコの原理に置き換えられてしまうのだ。

ハイハンデのプレーヤーにとっても、リストアクションを意図的に導入しようとすることはやはりテコの原理を発動させる。こうしたプレイヤーにとっての問題は、そもそも本人がまだクラブヘッドを正しくスイングするということを学んでいないということが一番大きいのだが、結果として表れるものが上級者の場合と異なってくるのは、こうしたプレイヤーは「手首を所定の位置に置く」ということを意識するために、クラブヘッドがボールに到達する前に実質的に両手の動きが止まってしまい、手首を屈曲(フリップ)させるしかなくなってしまうのである。これがハイハンデのプレーヤーが意図して手首の動きを使おうとした場合に発生する事態である。

もちろんこれらの話は、両手首がクラブをスイングする上で重要な役割を果たしているわけではないという意味ではない。実際にそれらはとても重要である。これまでにも説明したように、両手首は、クラブヘッドがそれまでバックスイング方向に引かれていた状態から切り返しにかけて、あるいはスイングのフィニッシュ付近においてその方向を変化させる際に、スイングのアクションにおける軽妙かつスムースなリズムを保持することを可能にしているものである。しかしこれらのアクションは、他のボディのパーツと同様に、クラブヘッドをスイングのアクションの中で動かすという主目的に対して、完全に受動的に反応するものでなければならない。

高名なプロフェッショナルである、レオ・ディーゲルは、全てのショットを右脚一本で立って行って、70台前半でラウンドする事が出来る。これら連続写真からわかることは、スイングにおける各時点においてその体勢は変化しており、スイング中にバランスを取るという行為は、両手でクラブヘッドをスイングするという主目的のために反応的に行われているということだ。ディーゲル自身は一本脚で立とうと両脚で立とうと、どのようにボディをターンさせるかについて詳細な考えは全く持ち合わせていない。

よって、もし貴殿がアイアンでのショットはドライバーやブラッシーのショットに比べてよりヒッティングよりに成っているの感じるのであれば、フルショットにおいても充分に制御されたスピードをよりどころとして扱うことを、つまりそれはクラブヘッドをスイングによって扱うことなのであるが、アイアンにおいても最重要なこととして認識していただきたい。ウッドと同様に、アイアンについてもクラブヘッドに何が起きているのかを把握出来る感覚を身につけることを意識することだ。

また、もちろんある個人がロングストロークからショートショットになるにつれて、そのスイングの種類を変えている、つまり、よりカットダウンしているように感じるということはある。しかしこれもまた、アクションのキャラクターに何らかの変化が生じているのではなく、ティーショットからパッティングにいたるまでそれはスイングなのである。非常に奇妙なことに、ロングショットよりも、ショートショットのほうがクラブヘッドの感覚を完全に掌握するまでにより困難を感じることがある。非常に優れたプレイヤーのなかですら、ロングショットよりもショートショットの方に問題を抱えている者がいるのである。

おそらくこれは、ロングショットになるほど、そのフルストロークのアクションにおいてクラブヘッドの感覚を取得するためのより充分な時間が確保可能なのである。ショートストロークにおいては、しばしばその感覚を取得するための全体的な手順を早めてしまいがちなのである。性急なストローク動作は、しばしばテコの原理を使用したストロークとみなされがちなのである。また始動が性急である場合に、それがスイングにつながるチャンスはないのであるから、それは常にゆっくりとスムースなものでなければならない。

関連することだが、かつて見たことのあるプレイヤーを想像しながら、それに似たストロークを目指して、ある特定の外見を伴う方法でボールを打撃したいと考えている人に向けて伝えておきたいことがある。そのとき、例外なく彼らは、トップオブザバックスイングの付近、あるいはそれ以外のストロークのどんなステージであれ、スイングが開始されるところをイメージしているのだ。言うまでもなく、そのイメージは両手のアクションに関することではなく、ボディのポスチャーに関してのものであるはずだ。

スイングが意味すること、また感性を通じてそれをどのように定義するのかを知っている者は、ほぼどのようなポジションからでもクラブをスイングする事が可能である。読者諸君は、いわゆるトリックショットと呼ばれる、どんなスタンスや体勢からでもショットを打ってみせるパフォーマーを見たことがあるかも知れない。私自身は椅子に座った状態で200ヤードのドライブが可能だが、実際に私はこれをよく生徒にやってみせるのは、人がひとたびボールに対してシンプルで心地よい立ち方を覚えたならば、すでに述べたように、様々な方法で立ち、それでいてスイングをする事が可能になるのである。重要な事はスイングすることを学ぶことであり、またどんな時に自分がスイングをしていて、どんなときにそうではないのかを学ぶことである。貴殿が自分の歩き方のスタイルを人生で作ってきたように、自分のスイングのパターンを構築していくのであり、それは日々意識的に、あるいは無意識のうちに変化するものかもしれない。実際、生涯にわたってまったく同じ方法のスイングをいつの日も行うというのは稀なケースになるはずである。しかしスイングの能力、またスイングのアクションを感性によって培うことは、貴殿のゴルフを恒久的に進歩させるための唯一の希望なのである。

座った状態からのストロークは、脚やヒップ、あるいはボディのその他のパーツは、プレイヤーが両手でクラブヘッドをスイングするという意識を持っている限り、それぞれが個々に特別な働きをしなければならないという意識を持つ必要がないことを伝えるためのデモンストレーションである。ストローク中におけるこれらのパーツのアクションは常に反応的であり、主導的なものではない。

 

これで第七章終わりですが、ゴルフィングマシーンと同様、ボディや下半身はあくまで上半身の意識に追従してバランスを取るものであって、ボディ主導のストロークという意識はあり得ないということですね。これ多分日本では下半身主導に洗脳されている人が多いので違和感感じる人もいるかもしれませんが、例えばツーアウト満塁3ボール2ストライクみたいな状況のピッチャーだと、普通は「あそこに投げてやる」って上半身側の意識は持つとしても、「脚をこう振り上げるぞ」って下半身側に意識を持つ人はいないと思うのです。もちろん実際の動き出しの順番としては下半身先行だと思いますよ。ただどんなスポーツでも試合中に下半身意識することってあんまりないのではないかと。「腰をもっと落とせ」とかそういう指導者多いですけど。

 

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