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第八章 インパクトを通じた左腕によるフォワードスイング(その3)

通常運転でまだるっこしーSPSの翻訳に戻ります。今回でセクション2の「モデルが語ること」が終了して、セクション3ではモデルにはないもう一本のアーム、つまり右腕の役割について触れていくのでもう少しゴルフ的におもしろさが増すのではないかと思いますが(単なる期待に過ぎませんが)、その前に次回あたりで一端ここまでのまとめおよび考察の記事を書こうと思っています。

フォロースルーに向けた「フリー・ホイーリング」

 我々はここで、ボールが打撃された後に何が発生しているかについて触れないままこの章を締めくくることは出来ない。

 モデル自体はフォロースルーというものを必要としない。つまりモデルは「打って止まる」という単純な動作を行う事によって、フォロースルーを要さずにその仕事を完璧に行う事が出来るからだ。一方ゴルファーは、フォワードスイング全体およびボールの打撃の終了と共に、スムースに継続する動作としてフォロースルーを取る事が必要となる。ゴルファーにとってフォロースルーとは、ボールを打撃するスイングアクションに継続する、インパクト以降に残存するボディ、両腕およびクラブの慣性を吸収する目的に寄与する必要不可欠な動作なのだ。

 フォロースルーの最中における最も大きなパワーは、言うまでもなくクラブヘッド自体の慣性である。モデルタイプのスイングアクション全体の狙いは、インパクトに向けて、ボディや両腕のスイング動作によって作り出された慣性を、可能な限り多くクラブヘッドに伝達することである。従ってインパクト後のボディ単体に残っている慣性は、フォロースルーに向けたスイング動作を継続する効果としては、クラブヘッドに注入されてしまった慣性に比べて極めて少ない。

 またパワー全体の一部は当然のことながら飛んでいくボールに注がれている(実際には全体の四分の一程度)が、その残りはフォロースルーによって吸収されなければならない。このパワーの吸収は、ハブを中心とした全体のアクションをクラブヘッドが引き込んでいく際、両腕、ボディ、両脚といった抵抗要素、すなわちそれ以上速く加速を行おうとすることを妨げるものに対抗させることで行われている。

 最も単純なモデルタイプのスイングの動作においては、プレイヤーがリラックスした状態であればボディ全体が勝手にこの動作に引き込まれていく。これがゴルファーがフォロースルーのポジションまでに達成しなければならない「フリー・ホイーリング」アクションであり、クラブヘッドがインパクトを通じてどのようにスイングされたのかに密接に関連したものとなる。

 

インパクト時の左手首

 左手首に注意を払っていればいるほど、フォロースルーに向けたその動作はインパクトに向けての動作を直接的に継続したものとなる。

 まずインパクトに向けて90°旋回した前腕は、そのままインパクト以降も旋回を続け、左手の甲が地面を向くようにロールをし始める(外旋)。

 次に、この直接的な結果として、クラブヘッドの慣性は、クラブヘッドがボールを打撃した地点を越えてそのまま進む事で左手首を自然に再びコックさせることになり、フォロースルーに向けて左前腕が左手首の後方に配置するように引き上げていくことになるのだ。

 クラブヘッドが左手首を、インパクトのポジションにおける「スクエア」でアンコックした状態から、フォロースルーにおいて外旋およびリコッキングを行うシーケンスに誘導する度合いは、プレイヤーがどの程度この現象の自由な発生を許容するかによる。スイングにおける他の動作と同様、スイング動作においてこの現象の発生を自然なものと捉えるか、あるいはその発生を助長するのか、あるいは抑制もしくは遅らせるのかといった選択によるのである。

 モデルが指し示す限り、最もシンプルな動作は自然発生もしくは「フリー・ホイーリング」のいずれかである。このことは、ダウンスイングにおいて「リストロール」の採用される度合いが強いほど、フォロースルーにおいてもその度合いは強まることを意味している。

 しかし注意すべきなのは、8:6のように甲側にヒンジされた状態はフォロースルーの初期段階においてはまだ到達すべきではない状態だということだ。もしこの状態になるのであれば、前腕のローテーションが急激かつ不本意に停止し、クラブヘッドの慣性がこの手首が甲側に折れたポジションにヒンジさせたことを意味している。

フォワードスイングのまとめ

 ここでゴルファーがインパクトを通じたフォワードスイングで、モデルのどのような部分を再現しているかについて、主要なものを以下にまとめてみる。

  1. ターゲットに向けたプレーン内で、ハブのアクションで前後にスイングすること
  2. ターゲットに向けたプレーン内で、クラブヘッドを前後にスイングすること
  3. 左手首のアンコックのタイミング、またそれがプレイヤーによって活用される際に発生するあらゆるフォースが、モデルの「自然な」スイングのシーケンスにマッチしていること
  4. ダウンスイング初期における左手首のさらなる右への旋回すなわち内旋によって、ダウンスイングの初期段階にターゲットを向いたプレーンからクラブヘッドが外れることを防ぐこと
  5. インパクトに向けて左手首のアンコックと同時に発生する、約90°のターゲット方向への左前腕の旋回によってプレーン内にクラブヘッドが振り出されること
  6. 上記のアクションを、インパクトの前後を通じてクラブヘッドがスイングされる際、左手の甲がターゲット方向に狙いを付けている状態になるように制御すること。この際最も効率的な打撃を行うための、インパクトにおける手首の状態としてクラブヘッドとプレイヤーの胸部の中心を結んだ線よりも両手首がわずかに前方に出ていること

  7. 左手首はフォロースルーに向けて外旋を続け、クラブヘッドの前方への慣性によって左手首が再びコックを始める際、クラブヘッドの残余の慣性がボディによって吸収される。フォロースルーはプレイヤーのインパクトを通じたスイング動作全体の形を直接的に反映したものとなる。

 

8:9 ジュニアゴルファーの上方から撮影した連続写真。モデルのダウンスイングを美しく再現している。上のゴルファーは10歳の少女である。また下のゴルファーは12歳の少年であるが、クロスハンドグリップになっていることに注目して欲しい。この方法ではモデルの必要要件を忠実に再現することが可能だが、いくつかのポイント、例えばバックスイングのトップなどで脆弱性をはらむ可能性がある。

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