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第五章 モデルにマッチするようにクラブヘッドをスイングするということ(その2)

森美穂選手はツインフィーズレディース参戦中です。

(C)ALBA

ちょっと仕事が落ち着いたので週2ペースで翻訳作業を頑張っていこうと思います。ではまだるっこしいのの続きです。

どのようにモデルに近づけるのか

この二人のプレイヤーは、左腕でモデルの動作を上手に再現出来ることを示している。しかしこのトップクラスのワンハンドプレイヤーによる左腕のみによるバックハンドスイングという非常に単純な例をもってしても、人間とモデルの動作の特徴には詳細に見ていくと違いがあることがわかる。

一つは、モデルのヒンジが折れ曲がり、また前方に振り出されていく動作はスイングのプレーン上で行われている。一方人間のゴルファーは、左腕一本によるスイングでさえも、モデルがクラブを同一プレーン上で下方のレバーを動かす動作を再現するためには、プレーン内でおよそ90°の手首のターンを発生させなければならない。

全てのゴルファーにとって、精密にモデルの動作を再現しようと考えた場合、その腕、手首、クラブを使用して行う場合、それが単純に不可能であることがわかる。

これらを全て合わせると、ゴルファーにとってこれは不可能になる。クラブをグリップしてボールにアドレスするだけで、モデルが行っているのと全く同じようにプレーンに沿って左手首をヒンジ(掌側に折る)させることは出来ないのだ。アドレスポジションからプレーンに沿って左手首をヒンジさせる動作は、腱(けん)による制約を受ける。この複数の腱は、前腕の根元から指先までつながっている。ゴルファーが指をクラブのシャフトをグリップするために丸めることで、これら腱の可動域の大部分を使い果たしてしまうのである。結果としてプレーンに沿ってこのゴルファーが手首を後方にヒンジ出来る幅は、ぎこちなく弱まってしまうのである。

 ダスティン・ジョンソンでもこのくらいです。これマネしようとした人はわかりますが、トップでこれやるの右の肩甲骨とか左手の手首とかいろいろ人間離れした柔軟性がないとムリです。

モデルが自由に強くそのヒンジを使用出来るのに対して、人間のゴルファーが同じ方法で動作できる幅は非常に少なく、おそらくそれは75°未満にしかならないために2レバーシステムの最大限のパワーを獲得することは現実的ではない。またこのような状態の手首は、バックスイングからダウンスイングが開始される際のクラブヘッドの切り返しで発生する慣性に対抗出来るほどの強度を保持することは出来ない。

5:2 オンプレーンにヒンジングすること(a)は、コッキング(b)を加えない限り90°に達することは難しい。

これまでの章でも手首の動作については多くの議論を行ってきたが、そろそろ基本的な手首の動作についての名称を与えて今後の議論を進めるべきであると思う。これらの動作にはもちろん解剖学的な名称があるが、それらはほとんどのゴルファーにとって親しみがなく混乱を来すものである可能性がある。よってここでは掌の親指と小指のプレーンでの動作を「コッキング」「アンコッキング」とし、掌が甲側と掌側のプレーンで折れ曲がる事を「ヒンジング」とする。5:3、5:4ではこれらを写真で表示すると共に、解剖学的名称も併記しておくこととする。

5:3 「コッキング」と「アンコッキング」。この言葉を本書では、「手」のプレーンにおける旋回と定義する。解剖学的にはそれぞれ「Radial Deviation(尭屈)」、「Ulnar Diviation(尺屈)」という。

5:4 「ヒンジング」の動作。「コッキング」、「アンコッキング」の動作に対しての直角の動作である。解剖学的には「Hyperextension もしくは Dorsi-Flexion(背屈)」と「Flexion もしくは Palmar-Flexion(掌屈)」という。

これら二つの名称群を使用しなければならないのは、モデルの動作において第一に機械的に重要な、単一平面で2レバーを作動させるということが、その手首を後方にヒンジさせるだけではその量や強度を充分に確保することが不可能だからである。

もう一つの明らかな複雑性は、人間のゴルファーのハブの構造にある。モデルのハブでは、モデルのスイング全体のプレーンを正しい角度にセットして、そこで固定されたハブでピボットを行うだけで良い。しかし人間のゴルファーのハブはそのようなシンプルな構造のハブを持っているわけではない。人間のゴルファーはその背骨に沿って正しい角度でその両肩をスイングさせることすら出来ない。それを行おうと思えば、クラブを最も効率的にスイング出来る動作の限界を遥かに超えた前傾を行わなければならい。現実的にはモデルが要求するようなスイングのハブのポジションを獲得出来るスタンスを採用することは出来ず、垂直よりは少し前傾しているというレベルの背骨の角度に収まる。よって両肩を回し、それもホイールのハブのように背骨を中心としたシンプルなスイングを行う事は人間には不可能である。

5:5 ゴルファーの複雑性。シンプルに背骨を中心としたピボットでは、モデルのハブのようなパワーを生み出すことは出来ない。ほぼ完全に直立してしまうとクラブヘッドは非常に低い、くるぶしくらいの高さのアークを描いてしまう。ショルダーターンのみによるスイングを行おうと思えば、ほとんどスイングが不可能になるくらいの前傾をしなければならない。 

スイングにおける二つの基本動作

従い、基本的なハブの動作を実現するためには、ゴルファーはシンプルな方のターンに何か別の要素を加えることで、その二つ動作が合わさって「ユニバーサルジョイント」となるようにしなければならない。

こういう部品を「ユニバーサルジョイント」と言うようです。

このゴルファーが使用している第二の動きは、両肩から生えている両腕を上下させることである。背骨に同調した両肩の基本的なターンに伴って腕を持ち上げることで、左腕は直進性を伴って、後方に、いかなる選択されたスイングのプレーンにも合致するように左腕を振り上げることが可能となる。

よってゴルファーは、その始動の時点から徐々に2レバーモデルの基本的な動作からは逸脱していき、モデルのスイング要件を再現することからの逸脱が大きいほど、骨、関節、筋肉、腱の動作のコンビネーションは複雑さを増していくこととなるが、それは人間の機械的構造においてモデルの動作を再現しなければならないからである。読者諸君は、もし人体にとってそうした複雑性の中で現実にプレイを進めることが必要であるならば、そのような2レバーモデルを使用することの意味について疑問を持つかも知れない。

動作のガイドとしてのモデル

この疑問に対する答えは、モデルを使用することのカギである。先端にヘッドというおもりのついたクラブによって発生するスイング中のあらゆる慣性は、可能な限り最もスムースで、最もシンプルに移動しようとする。よって、ゴルファーが実際に使用している全ての関節の動作それぞれは非常に複雑なものになるとしても、それら全てを合算して得られる結果は、全ての複雑性をスムースなものに統合したスイング動作として、再現性のあるものに調和していなければならない。

我々のスイングが基本的には2レバーシステムであるということを再確認することは良いとしても、それをモデルにフィットしたものにすることを強いるべきではない。それどころかゴルフのアートとは、モデルを追従したものに自身のスイングをいかに近づけられるかに存在するのである。

 まぁなんか読めば読むほどデシャンボーになっていく気がしますがこれで第五章おわりなので今日はこのへんで。

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