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第十八章 指導、学習、または練習について(3)

結果についての認識と学習

学習を効率的に行うために不可欠である要因の一つとして、努力に対しての結果の認識が挙げられる。この認識が十分なものであるほど、進歩をより効率的なものにする。これについては十分な科学的裏付けが存在する。科学用語では、このように結果に関する認識を活用することを「フィードバック」と呼び、これは過去のこころみの結果が脳に「送り戻される」ことでそれ以降の試みを修正しようとするものである。

もちろん全てのゴルファーが独自のフィードバックの能力を携えており、ほとんどの場合はショット結果の成否によって個々のスイングの善し悪しを判断している。しかし初心者の場合、ミスショットを生成してしまう方法を無数に行っているために、このフィードバックの信頼性はかなり低いものとなってしまう。ティーの目の前のブッシュに飛び込む完全なトップショットは、ヒールに当たってスライスして160ヤード先のフェアウェイに落ちるショットよりは、よりマシなスイングによって発生したかもしれない。熟練したゴルファーであればこのことを認識するかも知れないが、初心者には不可能である。初心者が望んでいることは、スイングに何らかの間違いが発生したのであれば、瞬時にそのことを知らせる何らかのシステムのようなものである。例えば、バックスイングのエラーを検出するとすぐにゴルファーに電気ショックを与えるマシンを考案できれば、初心者の進歩の効率が大幅に向上する可能性がある。

もちろんティーチングプロであれば、ショットの成否に関わらず、スイングの対してのコメントを行うことでこうした目的にある程度貢献することはできるだろう。これは初心者が自分のフィードバックを活用することよりも遥かに有用であるが、前述のマシンと比べると二つの大きな欠点がある。

まずプロからのコメントを受けるには、そのショットが終了するまで待たなければならない。次に、そのコメントはプロの個人的な、あるいは偏見に影響された解釈の結果である可能性もある。実際にティーチングプロが注意しなければならないことの一つに、実際に行われていることよりも多くのことを認識したと考えてしまうというものがある。多くの場合、定期的にハイスピードカメラなどの正確な観測機器を使用して、自身の観察能力をチェックすることで、気づきや向上を得られるはずだ。

ゴルフスイングにおけるフィードバックの意味は、それ以降のスイングを改善することにある。そうであれば、何らかのミスショットのあと、なるべく即座に行えることがとりわけ初心者にとっては望ましい。もしそのプレイヤーがたった一個のボールで練習をしていて、一回打つごとにそれを拾いにいっていたのであれば、おそらくその前のショットで何をしたのか、あるいは何をしなかったのかを忘れてしまうのでフィードバックを適切に行うことは不可能である。よってゴルフを学習するうえで、練習の際にはいくつかのボール(おそらく二十球程度)を用いて、フィードバックをすぐに活用できる環境で全てのショットを繰り返すことが重要となる。

スイングについてさらに多くの情報を収集するために、他人の目があることも有効かもしれない。その人が専門家である必要はなく、進んで協力してくれる友人でもかまわない。その友人がすべきことは、スイングのある特定のポイントについて、あるいは身体のある特定の部分の動作に集中して観察を行い、何が起きたのかを伝えることだ。ゴルファーは例えば、頭が動いていないか、両手がどのように動いているか、左のカカトが浮いていないか、またはクラブシャフトがトップで水平よりも動きすぎていないか等について確認するよう依頼することが可能だろう。

練習:その量、および頻度

このトピックは、ゴルフ界において未だかつて詳細に研究がされていない分野である。しかし、正しい練習方法であることはもちろん、正しい練習時間および適切なインターバルで練習を行うことは非常に重要である。

ほかのスポーツ分野での研究によれば、練習時間が長すぎる、あるいは練習の間に十分なインターバルがないことは進歩を妨げることが報告されている。適切に練習の間隔を開けることは、プレイヤーが以前の練習で付けてしまった悪いクセなどを忘れさせる機会を与える。

よって理想的には、ゴルフを学習しようとするプレイヤーは、頻繁に、かつ頻繁すぎない頻度で短いレッスンを受けるべきと考えられる。一日あたり30分から45分のレッスンがおそらく初心者には最適と考えられる。それであればレッスンのために疲れすぎてしまうことはなく、また翌日のレッスンまでの24時間のインターバルにおいてミスショットの癖を忘れることも可能であり、学習の継続性を損なうこともないからだ。もしレッスンを週に一回しか手配できないのであれば、レッスンの最初のパートは前回のレッスンのおさらいに費やさなければならず、必然的に進歩の速度は遅くなってしまう。

ゴルフを学ぶ上でこれらを全て正しく行うとすることは、好きなように練習やレッスンを受ける時間や機会を得られるわけではない、多くの人々にとっては学問的な問題である。しかしゴルフが多くの学校や大学で体育教育として採用されていくにつれ、このトピックはより重要な問題となっていくと予想され、また後進のプロフェッショナルの育成スキーム構築も不可欠となるはずである。 

学習とは反復である

一般論として、何を学ぶにせよ、その初期段階において相当量の反復を行うことが必要となる。このような反復を伴わない場合でも、電話帳で番号を確認した直後であれば相当に長い電話番号をダイヤルすることはできる。しかし将来にわたってもそれを覚えているためには、覚えられるまで何度も反復を行う必要がある。その後それをどの程度の期間にわたって覚えていられるかは、それをどのくらいの頻度で使用するかによって決まる。つまり頻繁にダイヤルする番号を覚えておくことは簡単で、その逆もまたしかりである。

このことは、あたかも脳に二つの種類の記憶メモリがあることを連想させる。つまり一つは短期記憶用、もう一つは長期記憶用である。前述の電話帳で電話番号を見た例で言えば、それはまず短期記憶用のメモリにコピーされ、ダイヤルされる際に呼び出される。しかし呼び出されるまでに時間がかかったり、何かに気が散ったりすると忘れてしまうかもしれない。

電話番号や、何か他のことであっても、長期記憶用のメモリに内容を保存するためには、それらを定期的に反復する必要がある。ゴルフスイングを学ぶ初期の段階でも同様に、プレイヤーは正しい動作を定期的に反復する必要がある。よって純粋に記憶方式の違いに関する観点から、あるいは全く別に、筋肉を適切な状態に整えておくという必要性の観点からも、定期的に練習およびラウンドを行うことが重要なのである。

ヤマニゴルフ Instagramより https://www.instagram.com/p/Cez2eUnrBzS/

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