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第十八章 指導、学習、または練習について(5)

なぜパッティングを練習するか?

同じ原則がショートゲーム及びパッティングについても応用できる。

もし現在の方法にあきらかな欠陥がある場合、練習は疑いなくそれらを根絶し、健全なテクニックを構築することに貢献する。しかし練習する事から得られるそれ以外の主なメリットについて言えば、グリーン上を転がるボールの挙動、グリーン面へのピッチショット、あるいは様々な種類の芝からのショットなどといった経験を積むことで、対応力の引き出しを拡げることにあると思われる。

二つとして完全に同じランニングアプローチ、もしくはパットといったものは存在しない。

プレイヤーの経験の幅が広いほど、ショットの要求に対応できる範囲も拡がる。例えばパッティングについていえば、速い、遅い、傾斜のある、起伏のある、広大なグリーンなどへの対応力がこれに含まれる。様々な異なる重量、およびデザインのパターを試してみることにも価値があるだろうし、一般に言われているセオリーに逆らって、速いグリーンで重いパターを、また遅いグリーンで軽いパターを試してみるのもよいだろう。通常のゴルフの環境とは真逆の状態で実験を行うことは、時として新たな発見につながることもある。例えば、適度になめらかな外面を持つ小さめのボール(テニスボールのような)でパッティング練習を行うことは、プレイヤーのボールの転がりについての経験値を増やすことになり、パッティング技術の改善につながる場合があるのだ。

もちろんこうした練習を月次の競技会の直前に行うことを奨めるわけではないが、こうしたパッティングの実験を行うことは、グリーン周りの練習で無目的にボールを打ち続けることよりはおそらく意味があるのだ。

もちろん従来の練習も、特に自信を深めるという点においては意味があるだろう。しかし練習の密度を最大化するには、繰り返しになるがプレイヤーが自分のパフォーマンスを測定するためのベンチマークを常に設定し、スキルの向上に必要なモチベーションと満足度を維持することが重要なのである。

ゴルフのトレーニング

ゴルフの向上のためにどのような筋力トレーニングやエクササイズを行うべきかについては、練習のメソッドとは異なり、かなり議論の余地のある状況下となっている。多くの著名なゴルファーが自分のお気に入りの手法を強く信奉しているいっぽうで、特定のエクササイズがどの程度効果的であるのかについて多くのことがわかっているわけではない。そして時としてゴルフ雑誌は一連のエクササイズの紹介を始めるといった具合である。

しかしトレーニングが、とりわけ漸増抵抗運動(もしくはウェイトトレーニング)が筋力の増強につながることは疑いのない事実である。しかしながら大半のゴルファーが、ゴルフに筋力の強さが必要であると完全に納得しているわけではない。エネルギー消費量の総量から言えば、コースを歩いてラウンドするということが肉体的負荷のメインとなっていることにゴルファーは気づいている。一方この状況をさらに調べていくと、スイングの短い時間の中で、全身の筋肉群がかなり激しく活動しなければならないこともわかってきた。もしこれを疑うのであれば、ボールを二十球ほど並べ、フェアウェイウッドかロングアイアンで連続打ちをしてみればわかることだ。

ゴルフでは体のほぼすべての筋肉を使用している。従い、ほとんど全ての種類の運動は、ゴルフの向上のための価値があるといえるが、どのような運動であれ、その第一の目的は全体的な能力の強化である。

あるプロゴルファーは、ゴルフのスイングにおいて両手が果たす役割が甚大であることから、ゴルファーは両手の強化に特別な注意を払わなければならないとしている。我々G.S.G.B.チームもこの見解に反対しない。しかし初期のプレスの報道において、この研究が明らかにしている「両手の重要性」についてはいささかの誤解が発生しているように思うので、以下にそれを明確化したい。

  1. 手は、パワーのメインソースとクラブヘッドの間の最も重要なリンクである。
  2. メインソースからのパワーが大きいほど、より速い動きに対応するために両手も強くなければならず、そこに関与するフォースも大きいものとなる。
  3. クラブを十分にしっかりとグリップするにあたり、両手の筋力があるほど、筋力の少ない場合に比べて、きつく握らずに済むため、手首の動作の自由度が増す。
  4. 強く、「教育された両手」を持つプレイヤーは、しばしば完璧とは言えないスイングであってもそれなりのゴルフをプレイすることができる。

しかし5. 手と腕がパワーのメインソースになることはない。

従い、エクササイズによって両手の強化を謳う言説は多くあるものの、ゴルフへの影響に関して言えば、スイング半径の最大化よりは、正確性と再現性の向上により大きな効果が見られると考えられる(ただし、正確性、再現性の向上によってスイング半径の最大化がもたらされるということはある)。エクササイズによってスイングの半径を大きくしようと考えているプレイヤーは、全体的な筋力の強化、特に下半身の強化に取り組むべきなのである。ちなみに、両腕、体幹、両脚をウェイトトレーニングによって強化することで、単にグリップ力だけを強化しようとするエクササイズに比べてより効率的な両手の強化が行える。

ゴルフに役立つであろうもう一つのフィットネスの形は持久力の強化である。これはウェイトトレーニングではなく、ランニングによって最も効率的に向上しやすい能力である。特に起伏のある地面でのクロスカントリーランニングは、心臓と循環器の持久力を伸ばすための最良の運動と言える。またサッカー、バスケットボール、ホッケーなど、ランニングを伴うゲームも良い選択肢と言える。縄跳び、スカッシュ、サイクリング、さらには水泳も役立つだろう。

ところで、あるスポーツで筋肉を発達させることが別のスポーツのパフォーマンスに悪影響を与えるという説があるが、これには何ら裏付けがない。これらの他のスポーツのほとんどは、脚の筋肉を強化するのに役立ち、従いゴルフのためにもとりわけ良いトレーニングとなるはずだ。ただしもちろん体力という共通の制限はある。例えば朝にマラソンを走っておけば午後のゴルフのスコアが良くなるということではない。

 

 

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