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アーネスト・ジョーンズ氏に寄せて

「スインガー最強メソッド」の始まりでございます。

アーネスト・ジョーンズ氏は、大英帝国における若きトッププレイヤーの一人だった。第一次大戦の最中、彼は片脚を失い、トーナメントプロとしてのキャリアをあきらめなければならなかった。その後彼はティーチングの分野に専念し、ゴルフ史上における最も評価される指導者の一人となっていった。1924年から1960年にかけて、彼は米国ロングアイランド州のウーマンズナショナルゴルフクラブでティーチングプロとして、次にマンハッタンにインドアスタジオを構えてティーチングに従事した。その間、年間3,000セッションにも及ぶレッスンを行い、12人以上のメジャーチャンピオン、そして数え切れないほどのクラブ、地域のチャンピオンを育成したことは有名である。世界ゴルフ殿堂において「史上最もゴルフ界に貢献した指導者達」部門が設立されたとき最初に選出された指導者の一人でもある(1998年、2月ゴルフマガジン)。

アーネストのティーチングの神髄は、科学における普遍的な法則と、シンプルなロジックに基づいている。ガリレオの発見である「振り子の等時性」はその基盤となっているものである。またレオナルド・ダヴィンチの物理の作用に関する研究は、ジョーンズがゴルフにおける「真のスイング」を達成するために必要としたものの全てである。

ガリレオの発見である「振り子の等時性」が我々に教えることは、振り子の弧の大きさに関わらず、シャフトの長さが同一であれば、その振動に要する時間は同じになるというものである。

よってその(リズムの)感覚も同じになる筈である。

またレオナルド・ダヴィンチは、「打撃とはモーションの子供であり、作用の孫である。そしてそれらの共通の先祖は重量である」と言っているが、これを翻訳すれば、「打撃」とはゴルフボールを打つ事であり、「モーション」はスイングモーションのことであり、「作用」とは遠心力、そして「重量」とはクラブヘッドのことである。

ジョーンズが発見したことは、「クラブヘッドをスイングする」モーションを獲得出来ていないプレイヤーが、「スイング」を行うことは不可能であるということだった。さらに言えば、「モーション」が存在する限り、そのモーションを部分ごとに分割して分析することは出来ないのであり、つまり「スイング」が存在する限りそのスイングを分割することも出来ないのである。「球聖」ボビー・ジョーンズ(アーネストと血縁ではない。念のため)が言ったことでアーネストの考えを支持するものとしては「PGAではしばしばスイングを部分ごとに切り取って分析しようとする傾向があるけれど、我々の経験ではその方法では指導の役には立たない」というものがある。実際には、「スイング」というものは、同じ空間の中で絶え間なく続けられる「行って、戻る」動作なのである。「おじいさんの時計」の振り子、あるいは公園のブランコなどで同じ動作を見る事が出来る。

アーネストが教えたことは、真のスイングのモーションにおける「感性」であり、それは両手を通じて感知されるものであり、それをひとたび習得してしまえば、メカニクスは自動的に修正されるということであった。彼自身は「両手はスイングをコントロールする中央機関であり、ボディのパーツ、すなわち両脚、両腕、両肩を信頼に足るフォロワーとして従える」としている。

今日、ゴルフの指導は、純粋なスイングの感性よりも、スイングメカニクスに重点を置きすぎている点でおかしくなっていると言わざるを得ない。全てのプロフェッショナルは感性によってプレーを行っているが、いかにしてそれを教えるかを理解している者は少ない。ある指導者は純粋にメカニクスを追求し、またあるものはメカニクスとモーションを合わせたものを教えているが、いずれの方法も効率的ではない。「過去25年間、アベレージゴルファーのハンデキャップは同じのままである(国立ゴルフ基金)」。

ジョーンズのメソッドは出来るかぎりその原型に忠実に指導されなければならないが、それはこのメソッドが宇宙の法則に基づいているからである。これらの法則は間違いなく、何人によって変更あるいは改善されることはない。従い、真のスイングのモーションの前提となっている諸法則、あるいはそれにまつわる感性も、変更されることは起きえないのだ。

よっておそらく、もし貴殿がクラブヘッドをスイング出来ていないのであれば、ボディの各部分およびポジションも間違った方向に進むことになる。それらボディの各部分およびポジションを修正することで、抱えている症状を緩和することはあっても、病気の根治につながらない。発生する影響を改善することはあっても、原因を改善することは出来ない。ゲーリー・プレーヤーはかつて「ゴルフの基本とか原則とかいうものについて言えば、数多のスーパースターがそうだと言っていることで、本人はそれをしていないということがよくあるので、ボクはこの言葉を使うことには慎重なんだ」と言っている。残念なことだが、私の兄であるアーニー・フランケルのような例外を除き、そうした基本とゴルフスイングで実際に機能することの両方を教えられるプロにはまだ会ったことがない。すなわちそれは「クラブヘッドにおけるモーションと、真のスイングの感性」である。

ツアープレイヤーは真のスイングのモーションを理解していない。かつてベン・ホーガンは「なんでボクがボールを上手く打てるのかは知らないが、いつそれをやればいいのかは知っている」と言った。トッププレイヤーはもちろん素晴らしいモーションを獲得しているが、それは気が遠くなるほどの練習によって獲得されたものであり、ひとたび彼らがその感性を喪失してしまえば長期に渡るスランプに陥ることも珍しくはない。一時は世界のトッププレイヤーと言われた選手が、ふとしたことで二度と名前を聞かなくなってしまうことが起きるのはこのためだ。こうしたことはゴルフ界における最も大きな悲劇の一つである。

どのようなレベルにおいても、ゴルファーは自分を責めることはあっても、未熟な指導者のせいにすることは稀である。ゴルファー諸君は、ゴルフの偉大なるミステリーを解明するための正しい鍵を与えられなければならない。「スインガー最強メソッド」はまさにその「鍵」であり、繰り返される「〜はもう古い」や、ポジションやメカニクスに立脚した「これをするだけですぐに良くなる」と言った、今日現れては明日には消えるようなメソッドに埋没する狂気を止めるものなのだ。

クラブヘッドをスイングするモーションを獲得するために必要なのことは以下である。

(A) リズムとタイミング

(B) スイングアーク(弧)の最下点における最大加速

(C) アークを再現すること:正確性

(D) 遠心力:飛距離

(E) バランス

これ以外にゴルファーが必要とするものがあるだろうか。しかし、スイングの獲得にあたっては、貴殿はスイングの単純性を受け入れることと、正しく練習することを学ばなければならない。再びボビー・ジョーンズの言葉を借りれば「ゴルファーにとって常に意識しておかなければならないことは、ゴルファーの仕事はクラブヘッドをスイングすることだけなのだということ。もしこれが正しく行われれば、ボールを打撃することは勝手に行われる」。

アーネスト・ジョーンズのメソッドはできる限り自然かつ容易にスイングを行えるようにするものであり、身体的・精神的ストレスも低減することが可能なのは、ボールを見下ろして貴殿が考えなければならないことがただ一つになるからである。初心者からエキスパートまで、貴殿はこの「常識的な」アプローチから何らかの恩恵を受けられるに違いない。「常識とは、しばしばそれほど皆に知られていることばかりではない」と言われるが、私はこの言葉が真実ではないことを祈っている。

では本文に進んで欲しい。「クラブヘッドをスイングするのだ!」。そしてゴルフという人類に与えられた最良のゲームを楽しもう。

 

ロン・フランケル ー フランケルゴルフアカデミー主催

 

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