サイトアイコン 大庭可南太の「ゴルフをする機械」におれはなる!

2018年末のご挨拶

早いものでこのブログで年末のご挨拶をするのも三回目になりました。

 

今年はなんと言いましてもブログでのTGM勝手な解釈の終了と、日本語版の書籍化という大きな目標が遂行出来ましたが、これも一重にマニアな読者の皆様の応援のおかげだと思っております。深く御礼申し上げます。

現在このブログのアクセスはTGMにはほぼ関係のない「2019年新ルールまとめ」の記事が80%というなんだかなぁの状態ではございますが、今後ともマニアックな記事を更新し続けていきたいと強く決意をいたしております。

 

実は先日ノビテック様主催の「GEARS Level1 Certificationセミナー」に取材で参加をさせていただきました。

「GEARS」は人体とクラブにセンサーを付けて解析を行うモーションキャプチャーのシステムですが

まぁおそらくPCM誌上で記事にすると思いますので今ここで詳細に触れることはいたしませんが、とにもかくにもグゥの音も出ないほど理論的で当然なことの積み重ねでゴルフを研究しております。

開発者は元PGAプロのマイケル・ネフというおっさん方ですが

自らがプロでありながらセカンドキャリアとしてこういうシステムの開発を行う事業を立ち上げてしまうというその姿勢がまずすごいと思うのですね。

 

幸い私はPCMラボの方で「GEARS」をちょっとは触れる立場にありますし、そこに収録されているPGAツアープレイヤーがTGMの各コンポーネントどのバリエーションを使っているかとか、そこにどんな効果が期待されるかも研究出来たり、その過程で様々なプロフェッショナルの方ともお知り合いになれたり生意気に意見交換させていただいたりしているわけですが、つくづく思うことは

出会いって大事だよなぁ

ということです。

 

もし私が2016年のマスターズを見ていなかったら、そこでデシャンボーという変なヤツがローアマチュアを獲得していなかったら、またその変態ぶりに興味を持ってネットサーフィンをしていなかったら、

「The Golfing Machine」

というキーワードにたどり着くこともなく、このブログを書き始めることもなく、PCMというマニアックな雑誌に寄稿することなどあり得ないし、今とはずいぶん違ったゴルフライフになっていたと思うのですね。

「GEARS」のセミナーの参加者は皆さんプロゴルファーだったりプロインストラクターだったりクラフトマンだったりシャフトメーカーの方だったりするわけですが、そんなところに私のようなド素人が「取材」なんて名目で潜り込ませてもらえることもなかったはずです。

ちゃっかり修了証まで頂いてます。

で、なんとかその「ナゾの本」の日本語版も製作できまして、まぁ結構苦労した気もするんですがそれでも2年半くらいで終わっている訳なんですね。もちろんこれ本業じゃないですから週に二回3時間くらいって時間を決めて作業してきた感じですから、フルタイムでやったら(餓死するけど)半年くらいで終わってるプロジェクトということですね。

 

それで今後どうするかと言うことなのですが、もちろんTGMの研究は一生続くと思いますし、GEARSのような解析機器で検証しながらゴルフの研究をすることは続けていくのですが、

実は日本語になっていない、英語でしか存在しない重要な情報ってもっといっぱいあるのではないかと思うのですね。著作権に抵触しない範囲でこういう情報を日本語化していくことも大事なのではないかと思うのです。

例えば死後50年以上経った著作者の英語は誰が翻訳しても問題ないはずです。トミー・アーマー(1968年没)の著作は来年から翻訳フリーになりますし、ボビー・ジョーンズ(1971年没)も2022年には翻訳フリーになります。既に日本語版が存在する著作もありますが、こうしたものでゴルフ版「青空文庫」を作ることも出来るわけですね。

「そんな大昔の情報をあさっても現代のゴルフの役には立たない」

確かにそういう考え方もあるでしょうけど、逆に私は「ほとんどのことが役に立つ」と考えています。道具が変わってもボールが曲がる理由は変わっていないですし、多くのアマチュアは100年たっても100が切れないわけです。

逆に、デシャンボーもスピースもモー・ノーマンもニクラウスもボビー・ジョーンズも必ず守っていることは絶対的な真理というか「基本」なことのはずです。

古典をしっかりと体系的に捉えることで、そういう「基本」をサルベージしていくことが必要だと思うのは、やはり「GERAS」のような先進機器でもそうした「基本」の上に発展しているとつくづく感じるからです。

そして日本のゴルフに致命的に足りないのがその「基本」の理解ではないかと思うからです。

人は誰でも新しいことが好きです。私も好きです。「『GERAS』でわかった!これまでの常識のウソ」という記事の方がキャッチーなのはそうなのでしょうけど、「GEARS」でわかることはTGMに書いてあるような「基本」がなぜ正しいのかということがほとんどです。

今の望遠鏡の方が高性能なのは当たり前ですけど、大昔にハレー彗星の周回軌道は計算できていたわけです。もちろん相対性理論や量子論ではニュートン物理で説明出来ないことが説明できるわけですが、だからと言ってニュートン力学が意味をなくしたと言うことではないはずです。なのでまずはニュートンしっかり勉強しようよということですね。

たぶん相対性理論や量子論を理解出来る人は、当たり前のようにニュートン力学を理解しているのだと思います。「ニュートンはもう古い。これからは量子論だ!引き寄せだ!」と言ってワッキャーしている科学者がいるとしても、絶対にその人はニュートン力学の意味を理解しているはずです。でないとそれは理論とは呼べないのです。

今のゴルフ界で「新理論」「新メソッド」を提唱している方々が同じようにニュートンを理解した上で商売上ワッキャーしているなら問題ないと思うのですが、

どうもそうは見えないのですね。。。

なので私は「古典」「基本」を様々な角度からサルベージしていこうと思います。人生の経験上そっちのほうが効果がありそうだと思うからです。新しいダイエット方法や新しい英語学習法にこだわらなくても、毎日10km走って英単語50個覚えれば多分効果が出ます。

 

長くなりましたけど、で、次に何を翻訳していくかですが、これです!

Search for the Perfect Swing: The Proven Scientific Approach to Fundamentally Improving Your Game

  • 作者: A. J. Cochran,John Stobbs,Golf Society of Great Britain
  • 出版社/メーカー: Triumph Books
  • 発売日: 1996/03
  • メディア: ペーパーバック
  • クリック: 2回
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1968年初版で、TGM同様10年留保で日本語の著作がないことが確認済みです。

TGMは基本的にスイング理論であり「人体側」をどのように整えるかを論じていますが、上の本ではゴルフにおける道具も含めた様々な現象を科学的に解明しようとしております。英国ゴルフ協会、USPGA、ダンロップなど様々な由緒正しい団体の共同プロジェクトとして行われた研究なので、どっかの黄色い本と違って非常に評価の高い書籍であります。

なぜこうした書籍が日本語になっていないかですが、要するに「売れない」と判断されたということだと思います。

 

これも本当に私がラッキーなところなのですが、現代ではWordで原稿作ってiPhoneで写真撮ってPDFをオンラインで入稿して1冊から書籍か出来てネットで販売出来るわけですね。テクノロジー万歳です。

こんな時代に生まれた幸運をかみしめながら、死ぬまでにあと30冊くらいは訳せるかなと思います。

 

長くなりましたが皆様が来年も「リニアフォースとともにあらんことを」お祈りしています!

 

良いお年を!

 

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