サイトアイコン 大庭可南太の「ゴルフをする機械」におれはなる!

クラブの握り方(その1)

我々はクラブヘッドでボールを打撃するわけだが、そのクラブを我々は両手で握っている。よってクラブを正しく握る方法を知ることがとてつもなく重要であるのは間違いない。どのよう道具や楽器であれ、そうしたものを保持する方法は明らかにそれらをどのように扱うかにマッチしたものになるのであり、妥当な結果を得るために習得が必須なものである。

一般にクラブに両手を添えて保持することを「グリップする」と言う。しかし私が思うに、この「グリップ」という単語は、まるで何かを万力で挟むような過度の緊張状態を連想させるものであり、あまりふさわしい単語ではないと思っている。こうした緊張状態はクラブを保持するのに必要なものではなく、さらに言えば正しくクラブを振るということの障害にしかならないと思うのだ。しかしこの言葉が一般的であることは事実なので本書で使用することもあるだろうが、単にクラブに両手を添えるポジションについて言及しているだけであるということを覚えておいていただきたい。

一般にグリップには三つのタイプがあるが、これらはそれぞれ手がもう片方の手に対してどのような配置になっているかに対応したものとなっている。すなわち、オーバーラップインターロック、そしてナチュラルと呼ばれる三つである。

まずオーバーラップについては、左手の親指がシャフトを斜めに横切り、その上に右手の親指の生命線がかぶせられると同時に、右手の小指が左手の人差し指の上に乗せられる状態となる。そしてインターロックでは、左手親指はシャフトを横切って右手の後方に配置されると同時に、右手の小指と左手の人差し指が絡められた状態となる。ナチュラルグリップでは、両手はオーバーラップ、あるいはインターロックの要件からは完全に自由となり、手の全ての指の状態はもう片方の手の状態とほぼ同じ状態でシャフトに接している。それぞれどのグリップの方法においても、偉大なるチャンピオンを輩出しているが、ナチュラルグリップの手法を採用しているプレイヤーは今日ではかなり少数派になってしまった。私がここで強くお勧めしたいのはオーバラップの手法だが、それはひとえに両手の人差し指と親指のポジションの関係性という非常に重要な理由のためである。この四本の指はクラブヘッドのフィーリングを感知するのに死活的に重要な役割を担っており、そのためこれら四本の指がシャフトに確実に接していることが必要であると私は考えている。

正直に言って、クラブに両手をどのように置くかについての正しい方法を、完璧に齟齬なく言語化するというのは非常に難しいことである。以後いくつかの写真やイラストを交えて説明を行っていくが、それらはどのように両手を配置するかについて簡潔かつ誤解の発生しないようにご理解をいただくためのものであり、従い本稿の残りの内容については、我々がクラブを握るということを行う際に、何が達成すべき目的となるのかを説明するものである。よって写真やイラストからの理解を深める傍ら、読者諸君は、ゴルフクラブを握ることとは、他の道具や楽器を保持するのとまったく同様の応用が必要であるという原則を常に忘れないようにして欲しい。つまり、全てのアクションを通じて正確なコントロールを行うのに必要充分な安定感をもって「それ」を保持するのみであるということだ。

例えば、文章を書く際にペンを握る様を想像してもらいたい。熟練した書き手ならば、紙の表面でペンを軽やかに扱えるのに充分な程度にしかペンを握っていないはずである。ものを書くときにそれほどの力を込める必要はないので、握りしめる必要はない。そのような強さでペンを握りしめれば、柔軟性や器用さを失って書くことを困難にするだけである。ゴルフのグリップでも同様の事が言える。確かに手の甲に力を入れて強くグリップすることは重いブローを繰り出そうとするときには有効かもしれない。しかしゴルフで必要なのは軽やかなブローであって重いものではない。これら二つの間には明確な違いがある。

両手の親指、および人差し指は、クラブをグリップする上でそれほど大きなパワーを出力するものではないが、これらは、とりわけ親指は、非常に広範な役割を発揮するものであり、クラブの動きを決定づける主導的な役割を担っている。また、クラブを振る際、そのスピードが大きな関心事となるため、クラブは掌よりも指によって保持され、振られることが必要になる。例えば小石を素早く投げようとする場合、人はそれを指で保持するが、綱引きを行う際のロープは掌で握るはずである。ゴルフにおいては、クラブは指によって握られるべきなのである。イラストから正しいポジションを学んでほしい。

掌側、および甲側から見た左手の親指と人差し指の関係

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