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「ボールを見る」ということ(その1)

もう全米オープンとサッカーワールドカップと仕事と「PCM」の入稿とラウンドが重なってなんじゃこりゃという忙しさでございましたので、先日このブログでも紹介した松田鈴英選手が4位に入ったニチレイレディースでパットのグリップがクロウグリップになっていたりとかいろんなことが気になってしょうがないわけです。

本ブログのTGM的ゴルフ考察は私の信仰の証でございますのでこれはこれで一定のペースで続けていきつつTGM日本語版の製作も進めないといけませんので(誰もそんなもん待っていないとしても私以外の誰もやらないだろうと勝手な使命感を持ってますので)

出来るだけ週一回のペースで記事更新しようと決意してはおりますが更新が遅れましても温かい目で見守っていただけますと幸いです。

で、今回のテーマはゴルフにおける「ボールを見る」ということです。なんでこれが「ステイショナリーヘッド」のカテゴリーなのかと言いますと、結論を先に言えばステイショナリーヘッドが出来ていないと、必要なものを「監視」することが出来ないからであります。

「〜を見る」の種類

よく練習場とかでお子さんにゴルフを教えているお父さんがいらっしゃいますが、お子さんがうまくボールを打てなかったり空振りしたりするときに「もっとボールをよく見て!」とおっしゃっているのを見かけます。いつも不思議に思うのですが、果たして「ボールをよく見る」と、ナイスショットになる確率は上がるのかということです。

「ゴルフ ボール 見る」とかで検索すると「ぼんやり見る」「見るけど見ない」「見てません。映っているだけ」「ボールの後方を見ている」とか様々な表現や情報が錯綜しまくっていて「ああ、これがゴルフの情報だよな」と思って微笑ましい限りです。

TGMにおいてこの辺をどのように説いているかは後述するとしまして、そもそも何かを見るときに人間(動物)はどういう目の使い方をしているのかということです。

追従オートフォーカス(追いかけ)型

いきなりカメラの機能の単語で恐縮なのですが、要するに動いている物体にピントが合った状態でフォーカスをロックして、常に物体との距離を測り続けるような目の使い方です。そう書くとなにやら難解ですが、野球やテニスなど球技では当たり前に無意識にこのような目の使い方をしていると思います。この状態では「動いているものを見て」、それ以外のものはなんとなく景色として認識出来ます。

例えば野球の外野手がフライを追いかける際、基本的には打球を見つつ、東京ドームの天井の模様は無視して、自分の守備範囲や落下地点の予測やフェンスとの距離などを計算しつつ捕球に向かっていると思います。この間たぶん走りながら落下地点に移動しますので、現実には結構画像はブレているはずですが本人的にはあまり違和感を感じていないのではないかと思います。

このような目の使い方は「動物」としては結構自然なもので、例えば屋形船に乗ってエビ天のしっぽを放り投げると海鳥が飛行しながらその放物線を予測しつつクチバシでナイスキャッチということは普通に起きているわけです。「何かを追いかける」時にはこのような目の使い方をしているのではないかと思います。

ピント開放(監視)型

「追いかけ」型とは対照的に、この目の使い方ではどこかにピントを合わせると言うよりも、景色全体を見るような目の使い方になります。例えば獲物を狙うライオンが草原全体を見渡しつつ、ほんのわずかな草の揺れや獲物のツノとかを察知するというような見方です。基本的には静止画像を見ていて、その中で動くものに対して「監視」をするような目の動きになります。重要な事はこの場合、観測点は「固定されている」ということです。

TGMで推奨するところの「見る」

TGMではいくつか「見る」ことの重要性を説いている箇所があるわけですが、「両手をモニタリングしようとするのではなく、「クラブヘッドを操ろう」とする意識を持つ事は大変に危険(5-0-1)」としながらも、2-J-3では「アドレスルーチンで意識したルートをクラブヘッドが通るように、クラブヘッド残像を確認する」と言っているわけです。で具体的にはこんな状況だと。

よって言っていることを整理すると、

①両手の感覚が大事であり

②両手がどのへんを通っているかは体感的に把握し

③結果ヘッドがどのように抜けるかはアドレスや素振りで確認し

④それを再現するように本番ストロークを行う

と言うことになるのではないかと思います。

で、この2-J-3の記事を訳しているときに思ったんですけど、

そんな冷静に「クラブヘッドの残像確認」って出来んの?

ってことですよ。

私は出来てませんでした。今でも練習場では意識してやってますが、本番ラウンドだとまだどうしてもボールに意識が行ってしまいます。やっぱりライとか、きっちりコンタクトしたいと考えると「ボールを打ちに行く」という感覚がしゃしゃり出てくるわけですね。

もうおわかりだと思うのですが、この「ボールを打ちに行く」感覚が発動するほど、上の目の使い方で言うところの「追いかけ型」が発動します。すると

①ボールに意識が行ってそれ以外の情報がぼんやりする

②アタマがつっこんでフォローが大きく取れなくなる

③両手の位置に意識が取れなくなる

④クラブヘッド軌道なんて全然把握出来ない

となります。

ちなみに上の図のようにクラブヘッド軌道が確認出来て、なおかつインサイドアウトにヘッドが通過出来ると、不思議とどれだけフェースを開いて打つ意識でもストレートからドローボールになり、アウトサイドインだとどれだけフェース閉じてもスライス軌道で飛距離も出ないという現象が起きます。

よってゴルフの時の目の使い方は、他の多くの動くボールを打つ球技とは異なり、「監視型」の目の使い方をしており、そのためのカメラも固定されているのではないかということで、もしかすると「ビハインド・ザ・ボール」とか「アタマが動かない」とかってそれで説明出来るのではないかということですね。

検証を進めるために、次回はツアープロがどのような「景色」を見ているかと検証したいと思います。

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