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「右肩が下がる」件

もうコロナのおかげで本業イベント業の私としましては休業・廃業待ったなしの状況でございますが、しょげていても仕方がないので記事を書いていこうと思います。出来ればゴルフの研究でメシが喰えたらもっと研究・翻訳のスピードも上がって良いのですが、このサイトのアクセスが月間300万PVになるとかTGM日本語版が月に100冊売れ続けるとかの奇跡が起きない限り難しいと思いますのでサントリー様からのスポンサードのご提案をお待ちしています。しぶこの1%くらいで結構ですので。

さて今回は「キミ、右肩が下がってるよ」の話題です。「ゴルフ 右肩 下がる」などで検索するとわかるとおり、この(一般にダウンストロークにおいて)「右肩が下がる」という現象は、「右肩がつっこむ」と並び、日本ゴルフ界では「問題として」認識されているようです。ところがゴルフィングマシーンでは、ダウンストロークでは

右肩を「後方に」置くだけではなく、「下方に」置く(オンプレーンであるということ)状態をキープすることであり、それが出来なければインパクトのポジションに両手が到達する前に「右腕が外に流れ出す」ことになるが、これがオートマチックスローアウェイである(7-148-6および10-6-D)。(「ゴルフをする機械」 p106)

つまり、ダウンで右肩は、後方(背中側)および、下方(地面側)に動かないといけないと言ってますので、ということは「右肩は下がる」のが正しいということになります。この問題についてGEARS動画で検証していきます。Athletic Motion Golf(AMG)の元ネタ動画は以下になります。

今回もプロとアマの比較を行う方式ですが、左がプロで、右がアマです。

バックスイングの開始時点ではそれほど大きな違いはないように思えるのですが、

トップに近づくにつれて、プロは右肩と左肩の回転プレーンがほぼ並行であるのに対して、アマは左肩が若干持ち上げられてしまっていることがわかります。ただこれ自体はさほど大きい問題ではないとマイク君は申しております。しかしここからダウンストロークが開始された時点に大きな相違が発生します。

アマチュアはダウンの開始直後から右肩がターゲットライン方向を向いていくのに対して、プロは、「後方かつ下方」に動きを開始していることがわかります。すげーなTGM。

そして左腕が地面と平行くらい間でダウンスイングが進んでも、プロはまだ右肩を「後方かつ下方にキープ」出来ていることがわかります。明かに「右肩は下がっている」わけですね。すげーなTGM。そしてインパクト付近では

プロの左右の肩の回転プレーンが非常に近い、つまり両肩がほぼ同一平面上を回転してきているのに対し、アマはインパクトまでに右肩よりもはるかに高い位置を左肩が回ってきていることがわかります。まあトップまでに左肩のほうが右肩のプレーンより上方に外れているのでしょうがないんですけど。この状態を見れば、アマは「右肩が(左肩に比べて)低い」つまり右肩が下がっていると言うことも出来ます。アドレス時点と比較した「右肩が下がっている量」はプロの方が大きいんですけどね。次に別の視点で見てみます。

水色の線はグリップエンド軌道で、緑色の線は両手の中心の軌道になります。二つの線の軌道それ自体はそんなに変わらないように見えるのですが、重要なポイントは、この二つの線が、アマはショルダーターンのプレーンとほぼ同じあるいはそれより高い位置を通って来ているのに対し、プロは明らかにショルダーターンプレーンよりも下を通って来ている点です。これがHWD時点でどのような作用をもたらすかというと

ショルダーターン軌道よりもスティープに降ろしてきているアマは、左手の手首に背屈(TGM的にはベント)が発生しているのに対して、プロの左手首は完全にフラットな状態になっている事がわかります。TGM信者であれば誰もが知っている「フラットレフトリスト」です。実はここで起きていることが昨今やたらにキーワード化している「シャローイング」なる用語と密接に関係があると思うのですが、おそらく「シャローに振る」というのは、ダウンでヘッドを寝かせる事がポイントなのではなく(それだと手許が浮きやすい)、「ショルダーターンプレーンよりも下方の軌道で両手を降ろしてくる」事を指しているのではないかと思います。それによってフラットレフットリストを起こしやすく、結果インパクトが厚くなるので強いボールになるという理屈ではないかと思います。そう考えると実は「シャローイング」とは「フラットレフトリストの手法」である可能性がありますが、AMGではシャローイングについてももちろん考察していますのでここでは結論づけないことにします。そして最後にフィニッシュでは

アマの両肩がまるでバンザイするように上方に動いていくのに対して、プロは最後までショルダーターンの軸がキープされているので、右肩は上昇し、左肩はやや下がっていく軌道になります。当然のことながら、プロの青線と赤線を結んだところに軸があります。めっちゃ美しいですねプロのショルダーターンは。たぶんぱっと見の外見上は、そんなにアマもひどいスイングではないように思えますが、こうしてみるとアマのスイングの完成度がどれだけに低いというか、見てくれだけで全然だめじゃんと言うことがわかります(誰だかわかんないのでいくらでもDisれます)。

で、実は上述のTGMの文章にはこんな続きがあります。

ショルダーターンのスピンアウトの最大の原因は、右のヒップをクリアにすることに失敗することである。このことはピボットによってコントロールされるストロークの予防線を張る目的において、「双方向に」非常に本質的な事象である。(TGM p106)

つまりTGMでは、ヒップターンの出来(前回の記事参照)が悪いと両手の通り道がなくなるだけではなく、ショルダーターンの出来も悪くなってしまうよと言っているわけです。さらに言えばそれらは相互補完的な関係にあるよと。そう考えると、ジョージ・ガンカスさんの言っているシャローガニマタの意味するところも見えてくるのではないかと思います。ヘッドを寝かせることやガニマタにするといった外見上の問題は本質ではなく、別の目的を達成しようとするための副作用のようなものなのではないかと考えてしまいます。私見ですが、どう見ても平均的な日本人のヒップの使い方はそんなにうまくないように思えますので、上記の理屈が正しいとすると形だけのシャローイングをマネしてもうまく行かないだろうなぁと思う今日この頃です。

で、日本ではなんで「右肩が下がる」ことを嫌うのかですが、たぶんこういうことが起きているのではないかと。

こちらのサイトの画像を加工させていただきました。

これは正確な言い方をすると、「ショルダーターンの軸が後傾している」だと思います。これやるとお手軽にインサイドアウトになりますが、ダフリやプッシュやシャンクが出ます。とにかくスライスを止めたい人が陥りやすい現象です。ほんと日本語ってスポーツの指導に向かねー言語だなって思うのですが、上記の現象はいずれまたGEARSで検証します。

ではサントリーさん、お待ちしています。

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