サイトアイコン 大庭可南太の「ゴルフをする機械」におれはなる!

第五章 タイミングおよびリズム(その1)

コロナがもううんざりするほど大変ですが、なぜか「みんなのゴルフダイジェスト」様にて連続で記事になりまして、当サイトにもおかげさまでこれまでからすると信じられない量のアクセスをいただいております。ワードプレスに引っ越した時の影響でリンクが切れている箇所がそこそこあるので、そういうところも直しつつ、「ゴルフについて(マニアックに)考える場」を作っていきたいと思う一方、私がコロナで死んだら誰もやらないであろう書籍の翻訳も進めていきたいと思います。というわけで「スインガー最強論」の続きです。

しばしば私が質問を受けることで、クラブヘッドをスイングする事が重要である事には同意するが、現実に良いゴルフをするには、他にやらなければならないことが山ほどあるのではないかというものがある。現実には、ボールを最も効率的、かつ最も正確に打撃する中で、持ちうるパワーを思いのままに操るためには、クラブヘッドをスイングすることを学ぶ事の他に必要なものは何もない。

ボールを打撃するためにスイングを行う中でクラブヘッドのスピードを培うことで、貴殿は最大限のフォースを意のままに操ることが出来るようになるが、スイングの発生を強要する事が出来るわけではない。このスイングの発生を強要するという考え方は、単にスイングをするだけではなく何か他のことも行う必要があると考える人々の発送ではないかと私は考えている。これまでに本書では既にタイミング、あるいはリズムについて言及してきた。クラブヘッドでボールを打撃する際に、何をしなければならないのかを感知しつつ、ストロークにおける各種動作をどのようなタイミングで行えば良いのかについても論じてきた。さらにそれを最も効率的に行うためには、クラブヘッドを「スイングする」事が必要であると主張してきた。そして完璧なスイングと、完璧なリズムというのは同義語である。

なかなか不気味なビジュアルの挿絵ですが、書いてある文言はこんな感じです。

クラブヘッドを振り回すために両手を使用し、それ以外のボディの各要素は、終始その意識する目的において何が起きているのかを把握するためだけに反応する存在である。全ての動作はクラブを制御するためのものである。

クラブヘッドを両手でスイングするというテーマへの理解を深めるためのイラストであるが、作者はこのイラストから胴体部分を消し去っていることに注目したい。クラブヘッドの動作は両手によって制御されるものであり、その制御は状況を感知することから行われる。それぞれのストロークの段階におけるボディのポジションはクラブヘッドをスイングする動作の結果として発生しているものであり、意識して達成しようと努力されるべきものではない。

あるゴルファーから聞いた話だが、そのゴルファーは幸運にもボビー・ジョーンズがプレイしているところを18ホールにわたってついて回る経験をしたのだが、この偉大なるゴルファーがストロークの時に何をしているのかが、ついに何一つわからなかったというのである。彼曰く、全てのショットにおいて、ボビー・ジョーンズのストロークはあまりにもシンプルかつ簡単そうなものにしか見えなかったというのである。一方で私は、そのチャーミングなキャラクターと美しくゴルフをプレイする才能に長けているという双方の理由で長年の交友がある、ジョイス・ウェザード女史がかつて、ジョーンズ氏のタイミングおよびリズムを観察することによって非常に沢山のことを学んだと言っているのを聞いたことがある。

この二人の意見の相違は私に取っては非常に興味深い。彼女自身も卓越したゴルファーであるウェザード女史からすれば、ジョーンズ氏のどこにも力みのないゴルフは、彼がクラブを最もスムースでリズムに長けた方法でクラブをスイングをしていると映るのである。しかしまた別の人物が見れば、すなわちその人はジョーンズ氏の一つ一つの動作やクラブの操作にその素晴らしいゴルフの秘訣があると考えて、それら見極めようとするあまり、最も本質的で重要なものを見落としてしまうのである。つまりそれはストロークにおけるリズムとスムースさである。

これこそが、遠心力によるパワーの活用、つまりスイングにおける特徴なのであるが、そのパフォーマンスにおいてどこにも力みが感じられないのである。どこか張り詰めたような、それはヒッティングの特徴なのであるが、そうした見た目にならないのである。例えば大きなホイールが、1分間に1,000回転、あるいは2,000回転もしくはそれ以上のペースで回転しているとして、そこにそれほど巨大なパワーが発生していると想像しづらいのは、そこではパワーが均等なペースでスムースに活用されているからである。しかしもしこの機械の構造に何らかの不具合があって、それにも関わらず同じスピードでこのホイールを回転させようとしたならば、おそらくどこかの部品が破損して飛んで行ってしまうなど、いずれにせよ深刻な破損が発生するであろう。完全に機能しているホイールから発生させることが可能なパワーは確かに強大なものになるだろうが、こうしたパワーの活用を行うための方法が即座にフォースを追求することを意味するのではなく、その評価は得られた結果によって行われるべきなのだ。同様に、ゴルフクラブをスイングするために人体のパワーを活用することにおいて、その動作がスムースでリズムを獲得しているほど、あくまで外見上からはそれほど大きなパワーを獲得出来ないのではないかと考えてしまいがちなのである。しかし結果はボールに何が起きているかで語られることになるのである。

念のためですが、アーネスト・ジョーンズとボビー・ジョーンズはなんの関係もありません。続きます。

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