サイトアイコン 大庭可南太の「ゴルフをする機械」におれはなる!

第五章 タイミングおよびリズム(その2)

どうもありがたいことに「みんなのゴルフダイジェスト」様のほうで、「連載」ということになってしまうようです。

ゴルフ理論の伝説的名著と言われながらも、その内容は超難解であることが知られる『ゴルフィングマシーン』。その著作を自主的に翻訳し、自費出版したアマチュアゴルファー大庭可南太が、その内容を可能な限りわかりやすく解説。その第一回は、ゴルフフィングマシーンの基本のキの部分をお伝えする。
スウィングを“24個の部品”と“三つのゾーン”に分割して考える。伝説の超難解ゴルフ... - 

文中にも書きました通り、あんまり万人ウケするコンテンツにならない気もするんですが、やれるところまでやってみようと思います。

さてコロナが猛威をふるう中、プロゴルファーはしょうがないので自宅で筋トレしている様子をSNSにアゲまくっていますが、こちらのサイトではいつも通りに地道に翻訳・研究を続けていこうと思います。では「スインガー最強メソッド」の続きです。

タイミングとリズムが高度に達成されているスイングでは、そのパワーの実際の活用における外見的兆候がほとんど見いだせないばかりか、肉体的要素に何かを強いるという感覚がまったく見て取ることが出来なくなる。私が思うに、逆に大多数のゴルファーが、ボールを少しでも力強くヒットするために一生懸命に身体の各所を動かそうとしているという事実も説明出来ると思う。つまり、ほとんどのゴルファーは、その生涯のゴルフの経験において、真のスイングによってボールを打撃するという感覚を持ったことがないのである。こうした努力というのは、ゴルフというゲームにおける肉体的な奴隷を生み出し、実際のゴルフに必要なものは軽い運動を超えるほどのものではないということをついに理解できないままその一生を終えるのである。

この点について、この間の冬に、私の経営しているインドアゴルフスクールでとても象徴的な出来事があった。非常に有名なプレイヤーが私のインストラクションを受けに来たときのことである。私が「もちろん、いろんなお悩みがあるとは思うのですが、あなたのような有名なプレイヤーが陥りがちなのは『常に悪いショットの原因を突き止めようとする』ということで、本来は『良いショットが出来るときは自分は何をしているのか』ということに理解を深めていくことが必要なのです」と言った。

するとその選手は、「確かに言われてみると、いいプレーが出来ているときというのは、なんだかあまりにも簡単に感じられて拍子抜けしちゃうくらいなんだよね」と言った。

明かに、この選手の問題はここにあるのである。彼が拍子抜けしてしまうと言うのは、つまり彼は、タイミングおよびリズムの問題から完全に解放されている状態を認識出来ていないのである。彼ほどの高いレベルの成績を残している選手でありながら、彼の有しているゴルファーとしての本能は、彼がベストなプレーをしていることを認識するための何かが欠如しているのである。ストロークにおけるタイミングとリズムを感知する事が出来ないということは、彼のゲームに何らかの問題が発生した際に立ち戻るべき場所へのガイドを失っていると言うことであり、自分の何が間違っているのかをひたすら追求する「不安」の犠牲者にしてしまうのである。ひとたびタイミングとリズムを感知することを学び、それを真のスイングに組み込む事が出来れば、そのゴルファーは何をチェックすべきなのかを考えるための明確な土台を常に持ち続けることが出来るのである。

ここでもし読者諸君が、この選手のような不安やプレッシャーの荒野にたたずむ状態になってしまったなら、あるとき、ほとんど偶然とはいえ、こうした感覚がなくとも真にスイングの動作でボールを打撃する可能性もあるということを知っておいて欲しい。例えばバンカーの手前に刻もうとする事があると思うが、特に何も意識せずにいつもよりもほんの少し緩慢なインパクトを迎え、ボールの行方を追っているとなぜかボールは予想よりもはるかに飛んでしまっていてバンカーのど真ん中に着弾するといったことがあると思う。

こうしたことが起きるとき、クラブは実際には「スイング」されているのである。このときに少しでも距離を稼ぐために強打したいといういつもの衝動は発生していないはずである。クラブはおそらくいつもよりもソフトな感触で振り出され、テコの原理を使用したいつものセットアップのぎこちない動作による摩擦からも完全に開放されているはずである。こうした弊害をもたらす動作の原因が何であるかは、これ以降の章で触れることにする。しかしここでは、タイミングとリズムの偉大なる重要性について再度強調しておくことで、読者諸君にいくばくかの注意を促しておきたい。

これまで議論してきたスイングにおけるいくつかの要素と、ストローク中にそれらの存在を感知出来るようになることの重要性について言えば、プレイヤーはそれらがストローク中に発生する方法でクラブヘッドをスイングする必要があると言うことである。これは「クラブヘッドが勝手にスイング(仕事)をする」といった考え方とは180°方向性が異なるものである。そんあ馬鹿な事が起きる筈はないのである。私のしている仕事は、クラブヘッドがそれ自体をスイングするように「仕向ける」にはどうすればよいのかを教えることである。クラブヘッドは明確にスイングの動作で動かされなければならない。そしてクラブヘッドに何が起きているのかを両手を通じて感知しながらストロークは行われる。

タイミングとはクラブヘッドのモーションを感知することである。正しいタイミングとは、スイングのアクションを通じて最も簡単かつ早期に獲得されるものである。棒、あるいはバットなど、どんなものでボールを打撃するにせよ、正しいタイミングは満足のいく結果を得る上で本質的に不可欠なものである。そしてゴルフのように、ボールが静止している場合、打撃の体勢を獲得するためにプレイヤーがそのポジションを急激に変化させる必要は全くなく、スイングすることで打撃におけるスピードおよび正確性を最大限に獲得することは可能なのである。

スイングするのだ!

第五章おわりっす!

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