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フラットレフトリストと外旋・内旋、あるいは回外・回内

久しぶりのデシャンボーネタです。

デシャンボーが持病の背中痛を克服するために、昨年シーズンオフよりかつてタイガーのコーチを務めていたクリス・コモとタッグを組んで肉体改造に取り組んで筋肉デブ化をはかってきたことは以前の記事でお伝えしましたが、ゴルフチャンネルの企画でこの二人が腕の関節の使い方についての話をしている動画がありましたのでご紹介したいと思います。

この動画は今年の1月のものなのでその存在には気づいていたのですが、ここで話されているトピックというのは、実はフラットレフトリストをどのように達成するかという点で非常に重要なのではないかと思ったのですね。

左からデシャンボーのコーチのマイク・シャイ、デシャンボー、クリス・コモ

 

フラットレフトリスト(FLW)は、要するにインパクトで左手首が甲側に折れ曲がる事は(「オーイ!とんぼ」的な特殊なショットを打つ目的でもない限り)あってはならないということで、その保険のためにむしろ手のひら側に曲がることはオッケーという、TGMにおける基本中の基本でございまして、かのベン・ホーガン様も「これが出来るかどうかが上級者とヘボの境界線」というようなことを「モダンゴルフ」の中で言っていたような気がいたしますのでおそらくそうなのだろうと思います。

これが出来ておりますと半ば自動的にハンドファーストでロフトの立った状態でインパクトをする事になりますので、上級者を目指す上では必須の技術と思うのですが、これが(フルショットで)出来ている人はアマチュアには大変珍しいことも事実です。

私の場合、右手首の背屈でこれをごまかして来たわけですが、なんかの拍子にこれが失敗するとフリップして左手が甲側に折れ、右手首が強引に伸ばされるという状況が発生して、結果腱鞘炎を発症した経緯があります。本来二重振り子のカオス動画を見ればわかるととおり、インパクト付近に向けてクラブヘッドは猛烈なイキオイで手首を視点にして腕を追い越していこうとしますので、小手先の筋力でFLWを達成しようとしてもムリがあります。

で、私が感じたのは、左上腕あるいは左前腕を旋回させてパワーロスすることなくヘッドをターゲット方向に逃がしてやることが必要ということだったのですが、今度はそれによって引っかけチーピン、特にショートアイアンで左にミスする傾向が強くなってしまいました。

結論としましては、「外旋、回外(フェースを閉じる動き)を行おうとも、その組合せでフェースをスクエアに保っておくことは可能なので左に曲がる要素は消せるよ」ということで、私自身もスインガーに変えてからずっと方向性に悩んでいたのがほぼ真っ直ぐの球になってきたので、FLW達成に悩んでいる方向けにシェアしたいと思います。

そもそも外旋・内旋、回外・回内って何だよ?

図はコチラのサイトからお借りしました。

回外(Supination)・回内(Pronation)というのは前腕の動きです。肘を曲げた状態で、手のひらを上に向けたり下に向けたりする事が出来ると思いますが、私の場合その可動域はだいた180°くらいです。つまりムリなくひっくり返せるくらいです。

外旋(External Rotation)・内旋(Internal Rotation)は、肩関節の可動によって発生する、上腕のねじれです。上の図のように肘を曲げた状態で前腕そのものを旋回させる動きです。私の場合外旋の柔軟性がやや低いのですが、まぁ160°くらいの可動域はあるのではないでしょうか。

これがゴルフにどう影響するのかというお話です。

この二つの機能の組合せは無限である

言うまでもなくゴルフのスイングは本当に人それぞれですので、正しく必要なお約束を遵守しているとしてもそれでも同じスイングにはならないわけです。動画の中でもリー・トレビノとベン・ホーガンは全然違うスイングだけれど当人にとってはそれが正解なわけで、数多のスイング例から本当に自分にとって身体的にムリがなく再現性の高いものを選択していかなければならないよねという話をしています。この時点でなんかクリス・コモはTGM信者向きな感触です。

例えばこの写真ではデシャンボーの左腕は思い切り外旋しているわけですが

このとき前腕は回外をおさえることによってフェースをスクエアにする事が出来ます。

では逆におもいきり内旋した状態にすると

今度は回外を最大化する事でフェースをスクエアに出来ます。

このときもう最大限に前腕が回外しているのだとすると、これ以上フェースを閉じる事は出来ないので左にミスする可能性はなくなります。ただしフォロースルーに向けて左肘を抜いていくような動作が必要になります。典型例はジョーダン・スピースですが、デシャンボーにとってこの肘の使い方というのは意識しなければ到底出来ないものであるということです。

ちなみにジョーダン・スピースは左ピッチャーだったそうなので(つまり左が利き腕なので)、このあたり器用な動作が可能なのかもしれません。

ここでデシャンボーが重要なことを言ってますけど

「ただ、これだとここからこうなっちゃうリスクがあるけどね」

それ、俺な(゚∀゚)!!

つまり私の場合、デシャンボーの反対で、フェースが必要以上に閉じるのをいやがって外旋を抑えめにして打ってたけど、まぁジョーダン・スピースのようにうまく左肘抜けないのでチキンウイングっぽくなってかつ失敗するとフリップしていたということになります。なので私の場合は逆に外旋を積極的に使って行きつつ、前腕の回外を抑えることでフェースをスクエアに保っていくことが必要だったことになります。三月に気づいたんですけど。

デシャンボーはここで力説してるのは、要するにこの二つの可動の組合せって割合の問題なのでほぼ無限に存在するわけです。そのなかで、身体的特徴や嗜好、あるいは求められる状態に応じてベストな選択をしていくことが必要になるというのですね。

さらにクリス・コモさん曰く、実はこのコンビネーションはフェースの開閉量だけではなく、実はヘッド軌道やライ角にも影響を及ぼすので、そこも注意が必要だと。幸いデシャンボーの場合、

ライ角はこの角度で安定させるために極太グリップ使ってるので、そこは問題ないと。あとは組合せの引き出しを増やしていけば、相当自信を持ってショットに取り組めるだろうと言うことでした。

デシャンボーがここにこだわるわけ

デシャンボーは本来、ヒッターなのでメカニズム的には持ち玉フェードです。こいつがトラブるのは、フェードではなくドローを打ちたい場面で、ドローがかからずに真っ直ぐ出てしまう場合が私が中継見ている限り多いのです。ヒッターはグリップを被せてドローを打ちますが、本能的にドローのかかり過ぎを危惧してフェースを開いてしまうなどの原因が考えられます。

でも「これ以上左に曲げられない」打ち方が見つかれば安心してドローを打っていけるわけで、そういう引き出しを作っていきたいということなのだと思います。

 

で、フラットレフトリストはどうなった?

例によって仮説というか、個人差もあると思うんですけど、こういうグレッグ・マクハットンのようなオニのようなFLWを達成するのって、

たぶん左肘の外旋と、左前腕の回内をセットにしないと出来ないと思うのですよ。普通の人間だと本能的にフェースとじていく動きが入ってしまうと思うので。

なんにせよ左肘を外旋させながらなるべく肘を曲げないで長く保てた方がインパクトゾーンは長くなりますし、ケガの可能性も減ると思うのでしばらく外旋&シャットを練習しようと思います。

今日はこのへんで。

 

 

 

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