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第六章 「スイング」の障壁となるもの(その1)

ちょっとペースを上げて「スインガー最強論」をやっていこうと思います。TGMとこの本とSPSを訳しておけばどうにか基礎知識としてはカバーされると思いますので、後は専門家の皆さんに頑張って頂きましょう。

第六章では「スイング」の障壁として、「ヒッティング」がなぜダメなのかについて触れていきます。逆にここで言われている「ダメな理由」がある条件のもとでは「ダメではない」のであれば、ヒッティングの有用性を見つけることにもつながります。では本文いってみましょう。

画像は本文と無関係です。(インスタグラムより)

リズムとスムースさの感覚は、ある特定の人々においてはそのほかの人達よりもより高いレベルで習得されることがあり得ると考えられる。リズムはスイングの動作における極めて原則的な特徴であることから、ともするとスイングを学習する際の難しさがより口当たりの良い言葉に置き換えられてしまうことがある。一般論として、ゴルフクラブの扱いの感覚を身につけるのは、男性よりも女性のほうが早いということに私も同意せざる得ない。

これはおそらく、男性はその幼少期から、女性に比べて屋外のゲームを遊ぶ機会が多いからではないかと思う。これらのゲームの多くは、「てこ」の」原理の活用を採用、あるいはその感覚を成長させるものである。私の経験では、例えばボート競技のプレイヤーは特にゴルフストロークをスイングで行う事が出来るようになるのに困難を伴う。それは彼らのオールを「漕ぐ」という動作が「てこ」の動作であるからである。言いづらいことであるが、クリケット、野球、テニスのプレイヤーだった人々にも同じような傾向が見て取れる。

しかしそのプレイヤーの持って生まれた特性、あるいは過去のスポーツ経験によるクセの有無に関わらず、看過できないレベルのトラブル要因となるものは常に存在する。ゴルファーがそのストロークをプレイすることに習熟するにつれ、ボールの飛距離が第一の関心事となることで、そのプレイヤーにとって出来るかぎり遠くにボールを飛ばすことが自然と目的化してしまう。とはつまり、可能な限りボールを強く「ヒット」するということである(ここで「ヒット」という単語を使用していることに注目して欲しい)。そこには最大限のパワーを投入したいとする潜在的な衝動が発生する。この衝動は極めて本能的なものと言えるが、このことがしばしばトラブルの元となるのは、このゴルファーが行おうとしているパワーの活用の方法に問題があるからだ。

このトラブルは、このゴルファーが持っている「ボールをヒットする」という内面的なコンセプトに端を発するものである。残念ながら我々はこの「ヒット」という単語を、ボールに対してクラブヘッドをインパクトさせるという意味で使用することに慣れてしまっているが、先に触れたように、ゴルフクラブを保持することを「グリップ」と言うのと同じように誤解を招きやすい言葉である。そこで「ヒッティング」という単語の定義を見直してみたい。

辞書によれば「ヒッティング」とは、「暴力的なコンタクトを行おうとすること」とある。同じような言葉で「ストライキング」という単語があるが、これは「ある程度のフォースをもって接触すること」もしくは「殴打を加えること」とある。ここから解釈するに、「暴力的な」というニュアンスが「ヒッティング」という単語には込められているのである。「暴力的な」という言葉には、「突発的な」、「急速な」という意味が内包されていると思う。これらのニュアンスは「ストライキング」という単語には含まれることが必要なわけではない。また、これら二つの単語の定義を考えると、これらの行為が行われる際に投入される「フォース」の量を指し示すものではない。つまりこれらの何が重要なのかと言うと、「レバリング」と「スインギング」における、パワーの活用方法の違い、すなわち「突発的で」「性急な」方法と、「スムース」で「リズムに調和した」方法とにおける違いを指し示している点である。

現実的には、プレイヤーがボールを「ストライク」する方法は一つではない。人はクラブヘッドをスイングすることによってストライクする事も出来れば、レバリングを使用することも出来る。実際には他のどんなパワーの使い方をするよりも、人はスイングによってボールを強くストライクすることが可能であるし、その過程で必要とされる正確性を失うこともない。それは遠心力によるフォースの活用がそれを保証してくれるからである。しかしこのことが、もはや習慣的となるまでにプレイヤーにとって体得されたものになっていない場合もあり得る。つまり過去の経験からてらせば、そのようにすることで再現性が得られるとは感じられないというような場合だ。そのように感じると、人は持ちうる全てのパワーを瞬間的に活用しようとすることに転じるのである。

「スイング」の動作は、スムースかつリズムに調和したかたちで始動させられなければならないが、そこで活用されるフォースもまた、徐々に発達するかたちで発生させられなければならない。よってこの手法においては、いかなる過程においても性急で衝動的な動作というものは発生しない。そのような動作が特徴的になっていくほど、「スイング」としてのアクションは崩壊していく。スピードではなく、「安定している」ことが「スイング」においてパワーを作り出すための初動における本質なのであり、スピードはその結果として作り出されるものである。

しかしもしプレイヤーが、いささかあいまいな表現ではあるが、「ヒッティング」をメンタルにおける目標としてそのストロークを開始したならば、既に述べたようにこのプレイヤーは、無意識に突発的な動作によってパワーを活用することを試みるようになる。結果としてこのプレイヤーは、パワーのソース(ボディの重心)とその放出される末端(クラブヘッド)の間における伝達ラインのいずれかのポイントでそのパワーを活用することとなる。しかしこれも既に指摘したように、実際のスイングにおいてはそのような事はほぼ不可能なのである。なぜならば、これはヒモの先についたおもりを一方の手でスイングしているときに、このおもりを加速させようとしてもう一方の手でおもりと手の間のヒモを押すような動作になるからだ。

このような始動は、腕とクラブの中間に位置する両手が常に逆方向に動こうとするのがレバレッジであるため、身体の各部部がその他の部分と反対方向に動こうとする「てこ」のアクションを導くのみである。こうした動作が外見上どのような結果をもたらすかは容易に確認できる。例えば通常のスタンスよりも左脚を大きく後方に引くようなスタンスを取らざるを得ないような場合、このとき体重はほぼ右脚に全部のっているがそこでストロークした時にどのようなフィニッシュになるかである。もしこの時にぎこちなくバランスを欠いたフィニッシュになるのであれば、ストロークの時にクラブを「てこ」で振ったという動かぬ証拠なのである。

 

まぁ早い話が「ヒッティング」では力む、リズムが乱れる、リリースも安定しないということだと思うのですが、これって例えばシャフトがこの時代のヒッコリーよりももっとあり得ないくらい硬くなっていたらどうなるのかと。とんぼが使っているようなプレシジョンの7.0とかだったらヒッティングもナシではないのかもということですね。

まだ続きます。

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