やっと今回で第一章が終わります。

ロフトとスピン

 11°もしくは12°のロフトのついた7オンス(198.5g)のドライバーを時速100マイル(160km/h)でスイングした場合、通常は9°から10°の打ち出し角となり、秒速約60回転(3,600rpm)のバックスピンを伴う。上級者が39°のロフトの一般的な7番アイアンを使用してストロークする場合、打ち出し角はおよそ26°となり、秒速約130回転(7,800rpm)のバックスピンを伴う。

なんとなく「あれ、ドライバーのスピン量多いな」と思うのですが、現代のクラブはこの時代より低スピンになるようシャフトやヘッドの設計を含め様々な工夫がされていると言うことかも知れません。

 これらはあくまで一例である。実際の打ち出し角度やスピン量は、あらゆるストローク、あるいはあらゆる種類のクラブにおいて、かなりの部分はプレイヤーがどのような方法でストロークを行うのかに影響を受ける。「チョッピング」「ヒットダウン」といった手法はスピンを増加させる。「フーディング」という、ボールよりも両手が前方に出ている手法を伴う場合、ボールの打ち出し角度は低くなる傾向になる。

 

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「良い感触」について考えてみる。この写真の状態に至った時点で、やっとマックス・フォークナーはボールにクラブヘッドがインパクトした「感触」を感じ取ることが出来る。この反応が早いとは言っても、シャフトや人間の神経を伝達して伝わる感触の速度を無限に引き上げることが出来るわけではない。よって彼はそれを「同時に」は感じ取ることは出来ず、実際の発生よりもわずかに遅れた時点で感じ取ることになる。

 

不当なショット

 プルもしくはプッシュというのは間違った方向にストレートなショットを打つことである。こうしたボールが真っ直ぐに飛ぶということは、スイングの方向に対してクラブフェースがスクエアであったことを意味する。つまりこれらボールが間違った方向に飛び出すということは、クラブヘッドがターゲット方向ではなく、間違った方向にスイングされていたからである。

 1°方向がターゲットからずれるということは、200ヤードのショットではプルでもプッシュでも3.5ヤードの左右のズレを生じる。よってもしボールがラフに飛んで行ってしまったならば、それはターゲットから20ヤードほど左右にずれてしまったことを意味するが、つまりスイングの方向が6°程度ずれていることになり、スイングに非常に大きなエラーが存在していたことを意味する。

 フックとスライスはカーブを描くショットになるが、これはインパクト時のフェースの向いている方向とスイングが行われている方向とがずれていることから発生するものである。これはプルやプッシュにおいて発生する飛球のずれと比較して約二倍程度の飛球のずれを発生させる、インパクト時における基本的なエラーである。とはつまり、もしインパクト時にフェースの向きがスイング方向と1°ずれている場合、ボールは上記と同様の条件であれば200ヤードの飛球の際に約7〜8ヤードのずれを生じるということになる。もしボールがラフに飛んでいってしまったならば、クラブフェースの向きが約3°ずれていたことになる。またこのスライスとフックの影響は、飛距離の長いショットほど増幅されることになる。

 

ゴルフの基本的な事実が意味すること

 これまで述べてきた事実群のなかには、多くのゴルファーにとって驚くべき事、あるいは新しく知ることとなった事実もあるかも知れない。研究チームのメンバーにとって、これら事実のいくつかは極めて明白、かつ重要で実用的な意味をなすものもあった。これら事実に目を向けるほど、「よいゴルフスイング」の摂理を突き止めることに労力をはらわなければならないものが明らかになっていったと同時に、多くのゴルファーが「出来ている」と思っていることが実は有益な効果を発揮していない事が何であるかも明確になっていったのである。

 最初の注意点はインパクトについてである。ボールとフェースが接触している時間は0.0005秒に満たず、クラブヘッドの反応がシャフトを伝達して両手に伝わるまでにはそれよりも長い時間がかかり、さらにその感触を完全に指を通じて認知出来る状態になるまでにはさらにインパクトの二十倍もの時間がかかる。この事実が意味することは、我々がストロークを行っている時に感じるものは、我々がボールを打っている感触なのではなく、我々がそれをどのように行ったかであるということである。これを突き詰めて考えれば、我々がドライバーのフルショットを行う際、自身の周辺を時速160km/hで旋回するクラブヘッドに何らかの影響を行使しようとするならば、というか必然的にプレイヤーに出来ることはそれしかないのだが、その時点でクラブヘッドはすでにその場所にはなく、既にプレイヤーが与えた速度でボールへと向かう軌道上にあるということになる。

 クラブヘッドの軌道はプレイヤーがダウンスイング全体で採用している手法とそのプレーンによって決定され、そのスピードはプレイヤーが投入したパワーによって決定されるが、それらを合わせていかに効率的なものに出来るかというプレイヤーの活用の結果となる。インパクトのまさにその瞬間、クラブヘッドはプレイヤーが感知できる全ての影響を、その円に近い軌道のなかで無数の糸によって両手につなぎとめられているかのような状態になっている。

 もう一つの着眼点は、トップクラスのプレイヤーによってスイングされるクラブによって達成される驚くべき正確性についてである。そのプレイヤーがプレイをする大半の状況に対応するために、彼らはそのスイングの方向において許容誤差を2°以内にするべくインパクトのフェースを常に管理することが必要となる。もしそれが出来ないのであれば、彼らは15yの幅の範囲にドライブすることは不可能であり、つまりフェアウェイを捉えることはできないはずであり、あるいはグリーンを捉えるといった、多くの優れたプレイヤーが行っていることを達成できないのである。

 その2°のマージンしかない状況を理解することで、彼らが実に驚くべき再現性と正確性で方向性の確保と打撃を行っているということがわかるのである。

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極めて少ないゴルフのエラーにおけるマージンについて。200yのショットがラフに曲がってしまう結果を招くには、フェースがたった2°ヘッドの進行方向からずれているだけで良い。

 

 フルショットになれば、人類が達成可能な限界のレベルまでその許容誤差を狭めていくことが必要となる。

 ここで我々が気づくべき事は、わずか0.5秒のあいだに四馬力を発生させクラブヘッドのスピードを160km/hにまで高めるかたわらでこのような正確性を達成するためには、彼らの肉体が極めて強靱であることを必要とするだけではなく、その四肢や関節を機械的にレバレッジする極めて効果的なシステムの確率が不可欠なはずであるということである。

 必要とされている正確性を達成するためには、これらシステムは可能な限り単純化されていることが必要である。そうでなければ、トーナメントで優勝を争う水準に必要な再現性を制御することはいかなるプレイヤーにとっても不可能である。

 完璧なるゴルフスイングへの一つの鍵、あるいは全ての可能性は、トップクラスのゴルファーと一般的なアマチュアの違いを突き止めることであり、それはおそらく人体で動員可能な全ての筋力を活用してフルパワーを発生させるオペレーションと同時並行して活用可能な、最大限の単純化の可能性なのである。

 これこそが完璧なるスイングの分析における出発点となるのである。

 

第一章終わり

 

まぁこの第一章を私なりにまとめますと

・ゴルフスイングはものすごく複雑な複数のことを

・わずかダウンスイングの0.2秒の間に同時多発並行的に

・ものすごく正確に行わないといけないスポーツであり

・そのためには複数の複雑なことをショートカットキーのように行える「単純化」が絶対必要なはずだ。

ということのようです。このあたり、「コンポーネント」や「手の教育」と言っているTGMと構成主義という点で非常に似ている観点だと思いますし、「最終的にはメカニクスの正確性を感性に落とし込む事が必要だ」というTGMの主張とも似ているのではないかと思います。

まぁやっぱり「これこれをするだけで、あとは何もしなくても打てます」というわけにはいかないようです。「自然に」「勝手に」「自動的に」「不思議と」「簡単に」というワードをレッスンや教本に見つけたら要注意です。たぶんそれは事実ではなく、そう言っているあるいは書いている人の「願い」に過ぎません。

 

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