思うところがございまして新規の記事カテゴリーといたしまして「GEARS解析・動画」というものを追加いたしました。基本的に日本のゴルフ言論というものは、「これまでのこれはもう古い!これからはオレの発見したこのメソッドがナウいぜ!」という論調なのですが、確かにそういう側面も全部ナシとは言えないとしても、人体がボールをクラブでひっぱたくという基本原則に照らせば、そんなに毎年ニュートン物理を陵駕する理論が出てくるのもどうなのかと。

例えば「実は身体は開いてオッケー」「地面を蹴る」「切り返しでシャローイング」など様々な意見がある中で、そういう感覚が存在するというところまでは理解できるとして、実際は「ほんまにそんなにシャローにしてるのか」「これまでの選手とは明かに異なる動作が近年主流になっているのか」ということは確認をしておく必要があります。カット軌道になりやすい人に「シャローにする」アドバイスを行う事でプレーンがスクエアになるということはあり得ると思いますが、そもそもカット軌道になっていた原因(ショルダーターンが早すぎて水平すぎるとか)を正確に突き止めれば、「なのでそこを治しましょう。ドリルはこうです。」で終わりなんじゃないかと。

その原因を正確に突き止めて、医者と患者で問題点を共有する方法は弾道計測器など含めいくつかあると思いますが、その中でプレイヤー(身体)、ギア(クラブ)がどのような関係性を保ちながら動いているのかを測定できるのがGEARSになります。なんでこんなわかりきったことを記事にしていこうかということですが、

(1) GEARSが何やってるかはだいたい想像つくけど実際計測したことはないんだ

という方がほとんどではないかと思うのです。かくいう私も実際に私のスイングを計測したことは10回もないですが、本場アメリカではほとんどのPGAツアーの選手は計測を行っていますし、単なる計測だけではなくて測定データをもとにどのようなトレーニングを行っていくのかのベースになっていたりします。実はこの計測データはGEARSのデータベースのなかで共有できるのですが、まだまだそこに日本人選手の名前はあんまりなかったりします。さらにGEARSの最大の特徴にして最大の問題となるのが

(2) きっとものすごいデータが取れると思うが、それをどのように料理するのか

という問題が存在します。健康診断でMRIとCTスキャンとゲノム解析して、「これがあなたの結果です」と300ページに及ぶ報告書を渡されても、知りたいことは「現在どんな問題があって、将来どんな問題が起きそうなのか、あるいはそれらへの対策」であって、詳細なデータではありません。よってどのデータに着目をするのか、そしてその改善のためにどのような対策を行うのかの提案ができる「医者」の眼が必ず必要になります。

GEARSがやっていること

まぁだいたい想像がつくとは思うのですが、改めてGEARSがどういうシステムなのかを簡単に説明します。まずGEARSは計測機器として8台のカメラを使用し、その位置関係をシステムで把握します。よってトラックマンのように持ち運びをするのはなかなか難しく、専用の施設まで出向いて計測を行う事が必要になります。カメラの撮影速度は1/240〜1/360なので、昨今そこまでハイスピードというわけではないですが、カメラが8台あって、つまり200 x 8 = 1,600枚/秒の映像を複数カ所から撮影して、その位置関係から動いているクラブ、プレイヤー、ボールとのインパクトを計測しています。現在の技術でももっと撮影速度(コマ数)を増やすことは出来ると思いますが、ファントムカメラ(2,000fps)で確認しても結果がほぼ変わらなかったことから1/200秒の撮影速度で充分ということになったようです。

プレイヤーとゴルフクラブには、このカメラが赤外線で認識出来るマーカーを取り付けます。

実はカメラが認識しているのはこのマーカーだけなのですが、その位置関係から人体がこのように存在しているとシステム側で認識して画像を作り出しています。クラブも同様です。この認識作業が慣れないうちは若干時間がかかるのですが、慣れれば2〜3分で終わります。後は計測するだけです。

データから何を得るのか

一つの方法は、様々な測定項目で得られる数値が、平均値からどの程度乖離しているのかを調べるものです。ただこの方法は上級者になるほど「ある程度意図してやっている」場合もあるのでやはり専門的な視点が必要になります。例えばデシャンボーのアドレス時のコック角度は、おそらく平均より「並外れて少ない」数値が出ると思いますが、だからそれを治そうというのはもちろん間違った方向性になります。

もう一つの方法は比較を行う方法です。例えば去年の調子の良かったときはこういう数値だったのに、今はこうなっているという方法がこれにあたります。ただ去年と違うことが、現在のパフォーマンスと因果関係があるのかどうかは、やはり専門的な視点が必要になってくると思われます。

原理的にはわかりやすいシステムであるとしても、瞬間的に膨大な量の画像データを処理して3D環境で俯瞰して状況を確認出来るというのは、パソコンの処理速度が最近なみの速度になったから可能なわけで、プロゴルファーがこれをどのように活用していくかは、弾道計測器との併用も合わせ様々な手法が開発されているというのが現状ではないかと思います。

ただ逆に言えば、アマチュアゴルファーにとっては、「プロはだいたいこうやっている」ということが確認出来ると言う点で、非常に有効なのではないかと思います。「ってアマチュアでしょっちゅうGEARS計測できる環境にいるやつなんでいねーじゃん」というジレンマはありますが(まぁプロファイルフィッティングで出来ますけど)、「一般的なプロの動作」と「典型的なアマチュアの動作」の乖離が大きい部分をピックアップして考察を行っていく事は、典型的なエラーを潰していくと言うことで大きな意味があると思うのです。

で、本場アメリカではこの作業を動画にして紹介しているサイトがあるので、このシリーズの要点を和訳しながら紹介していけば一つのアプローチになるのではないかと。ものによってはその要点が出来ているかどうかをスマホで確認することも可能なはずです。で、次回以降それをやっていこうと思いますが、栄えある第一回は以下の動画です。

この「ヒップをクリアにする」という単語は、TGMではかなりしつこく提唱されているものなのですが、どうもあまり日本では一般的ではないどころか、明かにプロでも出来ていないことがある要素だと私は思っています。

例によって「Search for the Perfect Swing」「スインガー最強メソッド」やその他コラムも含めて気まぐれ更新になりますが、ご期待くださいませ。

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