先日さる高名なツアープロコーチの方とじっくりお話をさせていただく機会がありました。その翌日にはPCMでもねちっこい会議もありまして、改めてゴルフの原理原則を見つめ直していくということが様々な解析技術が進んでいく中でますます重要になっていくということと、一方でそこで起きている現象や対策をわかりやすく伝えられるコミュニケーションの専門家の存在がカギなのだなぁということを痛感いたしました次第です。

まぁ80も切れない私が感覚論を述べても無意味ですので、ひたすら変態的に事実やその背後にある原理をねちっこく追求していくというのが出来る事なのだろうと思います。というわけで引き続きGEARSです。

これまでの記事で、まずヒップの動かし方について、アマはヒップターンをしながらボールに近寄りがちになるのに対して、プロは絶対にボールに近づくことなく、むしろ離れて行きながら両腕の通り道をしっかり確保していることがわかりました。これを「ヒップをクリアにする」と言います。

次の記事では、ショルダーターンの方法について、アマは切り返しからすぐに右肩がボールに近づいていくのに対して、プロは切り返しからいったんボールとは反対方向の背中側下方に右肩を動かしています。

この二つは共にTGMでは、カット軌道その他の問題を発生させないために非常に重要であるとして、かなりしつこく強調されていることなのですが、50年以上経ってもやっぱり大事な要素のようであります。ところが私の体験といたしまして、上記の二点を意識すると、次にある問題が発生しやすいのです。今回はその問題に関しての動画です。

今回も引き続きプロアマ比較動画なのですが、今回はそれぞれの「骨盤の中心(Pelvis Center)」と「肋骨(胸郭)の中心(Ribcage Center)」から地面に垂線をひきまして、それらの関係性がプロとアマでどのように異なるかという話題です。これまでの動画では、テークバックで右サイドをしっかり「引き」、なおかつその状態を切り返しからダウンにかけて「安易に崩さない」ことが重要としていました。そこに、「しっかり肩を回す」「しっかり体重移動をする」という意識が加わるとどうなりやすいかです。

はい、このようにテークバックのかなり初期で、上体が骨盤に対してかなり飛球線後方にもっていかれます。「右脚にしっかり乗る」とか思うとこんな感じになります。かつての私です。本人的には

「これが『逆Kの字』ってやつだぜ!しっかりビハインド・ザ・ボールってやつだぜ!」とか思ってます。ただこれをやると

トップで思い切りこの二本の線の間が大きくなり

ダウンからインパクトにかけてこの線の感覚が狭くなっていきます。

しかしプロはこういうことは全然やっていないというか、むしろ反対の動きをしているのですね。

アドレスからトップまでほぼ二つの線が重なっている状態がキープされているだけではなく

さらに切り返しから下半身が飛球線方向に踏み込んでいくのに、上体もついていってこの重なり合った状態を長く維持しています。そしてこの状態から一気に

インパクトに向けて上半身と下半身の差を作ることで真の「ビハインド・ザ・ボール」を達成しています。

こうして比較するとアマはつっこまないようにテークバックしているのに対して、プロはむしろテークバックで「つっこむ」動きを入れて後方への体重移動を相殺していることがわかります。

前傾角度の維持

しばしば言われる「前傾角度の維持」という言葉ですが、これは正確な言い方をすれば「非球線後方から見たときの下半身と上半身で出来ている角度が変わらないように『見える』状態を維持してストロークしましょう」ということであって

解剖学的にはアドレスとインパクトでは体勢は全く異なります。本来、アドレスで出来た前傾を維持しようとしたままストロークを進行させれば、

頭部はこの図のように後方に持ち出されて、ダウンからインパクトで戻ってきて、フィニッシュに向けてターゲット方向に持ち出されるのが自然な動きになるはずです。これにより正当派の「つっこみ」が完成します。

プロ・上級者は何をしているのか

解剖学的には、アドレスで「前傾」し、トップに向けて「左側に側屈し」、インパクトに向けて「前傾」し。フォローに向けて「右側に側屈」しています。サイドベントとか言われてるアレです。サイドベント姿勢の正しい作り方については、TGMの関連理論である「スタックアンドチルト」で簡潔に説明されています。

「The Stack and Tilt Swing」 p15

要するに左側に上半身が倒れ込んだ状態を作ってから頭部を正面に回してくればこのトップの体勢を作れますし、フィニッシュはこの逆になります。

これを実際にやってみると、ものすごく左脚体重な感じのトップになります。実際にスタックアンドチルトは「左脚一軸」という言われ方をして、「なんか飛ばなさそう」と思われてますが、実はこれでもしっかり必要充分なウェートシフトが行われていて、ツアープロは実際にこの動きを取り入れていることが上記のGEARS解析からわかります。

昨年GEARSのセミナーに参加したときに、GEARS開発者のマイケル・ネフから「素晴らしい典型的なアマ」と賞賛された際の私のスイングが上記のツッコミ型だったわけですが、ネフのコーチングは

「トップに向けて飛球線方向に壁があると思ってそこによりかかれ」

「トップに向けて右のケツを引け」

「ダウンスイングでオマエの右のケツを思い切り後ろから押すからそれに対抗しろ」

「その体勢から思い切り左に振れ(アウトサイドイン補正)」

というものでした。私の当時のスイングは頭部を思い切り後方に置いてインチキインサイドアウトのチーピンというものでしたので、そのようなコーチングになった可能性がありますが、その感じをテニスで表現すると、

もうスライスのテークバックかよってくらい左脚体重な感じだったりします。一昔前は「二軸」とか言ってしっかり体重移動するのが飛距離のためには最善というイメージがあったりするのですが、ではこれがスタックアンドチルトなどの提唱によって最近変わったのかと言うと、

これボビー・ジョーンズですけど、左足ヒールアップしてるんで体重ということで言えば右脚に乗ってると思うのですけど、体勢的には上のフェデラーのスライスのテークバックと同じくらい飛球線方向に重心をかけているように見えます。

そして帝王ニクラウスなどのヒールアップ派はこの傾向がわかりやすいのですが

ベタ足のマキロイだとこんな感じ。

なので二軸の前後体重移動マシマシっていうのはちょっとイメージ的にも現実的にも怪しいと思うのですね。

これは個人の感覚になりますが、私の場合はこの位のトップを作ろうと思うと、テニスのスライス打ってからネットに詰めるんだくらいターゲット方向に重心をかけていかないと出来ないわけです。ですがストロークが進んでクラブヘッドをターゲット方向に振り出していくことで、そのターゲット方向に前のめりしている重心が後方に引き戻されるので、結果として頭部の位置をそんなに動かさずにフィニッシュまで持って行けるという感じです。

 

 

 

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