クーラーが直りません。

窓を閉めると室温が50°を超えるので窓を開けないと死んでしまうのですが、それでも外気温より室温が上がってしまうので扇風機と凍ったペットボトルをごろごろ配置してなんとか室温を下げるか水のシャワーを浴びることでどうにかしていますが、ハッキリ言って外の方が涼しいです。

いろいろやらないといけないことが溜まっていることは重々承知なのですが、どうも人間は40°を超えると知的な作業は出来ないのだろうと思います。だもんでテレビを見るという受動的な作業しか出来ないのですが、そんな中「しぶこ」がやってくれました。

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ゴルフネットワークで解説していたのが岡本綾子さんというのもよかったのですが、シニカルな中にゴルフと日本への熱き愛情が詰まっていて、まさにツンデレならぬ

「ツン熱」な解説でした。

最後のパットも世界中が打った瞬間に「強っ」と思ったと思うのですが、入った瞬間の岡本さんの絶叫とか見ていて鳥肌が立ちました。まぁそれでも部屋がクソ暑いことに変わりはありません。

笑顔のプレースタイルとファストプレイが世界で評価されたこともさることながら、記者会見などでもしっかりと質問者の目を見て自分の言葉で考えて発言をする姿勢は、新しい日本人プレーヤーの姿を見たような気がします。思えば15年ほど前、この選手を見たときも「なんとしっかりした清々しい受け答えの出来る選手だろう」と皆さん思ったのではないでしょうか。

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錦織君が強いおかげでテニススクールのジュニアの入会が半年待ちになっていたり、たった一人の選手の活躍でスポーツの業界構造なんて簡単に変わるわけです。十数年前に宮里藍さんの出現があったから今の黄金世代があるわけですが、おかげで「しぶこが勝つならあたしだって」と思っている選手が少なくとも今の日本には二十人くらいはいるわけです。日本の女子ゴルフ界の未来は明るいです。とっても。この期に乗じてなんか私も儲けグチはないものかゴルフ界に貢献できることはないかと思ってしまいます。

ところでしぶこも岡本さんも共にソフトボールのピッチャーをやっていて、もちろん打撃も相当のものだったと想像するわけですが、中継の中で実況の方の質問に答える形で岡本さんが「やはり長い棒を振り回すと言うことについて、ゴルフと野球やソフトボールには共通するものがある」と言っていましたね。

ここで前回からの流れに見事につながるわけですが、野球出身者でパワーヒッターだった人は、やはりゴルフでも飛距離というかパワーについては抜きん出ている人が多くいらっしゃるわけです。ですがその大半の人に

スゲー飛ぶけどスゲー曲がる。

という事が起きています。基本的にスライスします。なぜでしょうか。

バッティングとゴルフスイングの違い

バットというのは

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要するにこういう道具ですよね。

例えば先っちょが地面にぶつからないようにボールをティアップして、この道具の重心をボールにぶつけるようにひっぱたくというのは、そんなに難しいことではないように思うのです。ティーバッティングって練習法ありますし。やったことないですけど。

で、問題は、ゴルフクラブは実はこういう道具なのに、その違いを認識してスイング出来ていますかと言うことです。

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この二つの道具を、永久にシャフト軸と球体の重心軸を同一プレーンでスイング出来るのであれば、 つまり垂直に振り降ろすような動作で動かせるのであれば、そんなに両者の間に大きな挙動の違いは出ない(ゴルフモデルの方がしなりは大きくなるでしょうね)と思うのですが、

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ゴルフのプレーンというのはインクラインドプレーン(傾いたプレーン)上で行うので

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ダウンでは上から下に振り下ろす動きと、上の図で言えば背中側から前方方向に振り出す動きがミックスされることになります。

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上下の動きで言えば、切り返しからハーフウェイダウンまでは、両手によってクラブを振り下ろすチカラ+重力で下の方に振り出されます。しかしヘッド重心の慣性がヘッドの移動に遅れ(ラグ)を生じさせますので、いわゆるコック角がほぼ90°に維持されたまま移動してきます。

しかしベルトの直線部分の終わりに差し掛かると、もう両手はそれ以上下方に移動出来ませんので、今度はヘッドの慣性がそれまでの運動の方向を維持しようとしますので、そのまま下方向に移動しようとします。これがリリースの開始になります。

www.youtube.com

再びアダムスコットですけど

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このハーフウェイダウンで重心にかかっているチカラの向きが下方向から横方向に変えられることになりますので、重心角のプレーンで順しなりから逆しなりが発生します。この現象をフェース基準で考えれば、逆しなり(GEARSではDeflection)とトゥダウン(GEARSではDloop)が同時に発生します。

上の写真で見ればわかるとおり、この時点ではまだフェースは思い切り開いていて、なおかつヘッド慣性でそのフェース方向が維持される方向に感じるので、バット感覚でゴルフクラブを振ると、「やべぇ、これ絶対インパクトまでにフェース返って来ない」という以下の写真のインパクトの予感が発生します。

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それに反応して、

(1) ヘッドを強引に変えそうとする

(2) ハンドアップする

(3) リリースがとける

(4) カット軌道になる

(5) ヘッドが余計に返って来ない

などの現象が同時多発してスライス確定になります。要はシャンクの原理とあまり変わりません。

実は重心角プレーンで逆しなりしてる時点で(そうは感じられないけど)フェースは閉じる方向に動いてますので、ヘッド軌道を阻害しないように両手をハブのプレーンでスイング出来ればフェイスはインパクトでスクエアに戻ってくるんですが、フェースの感覚でスイングする限り信じられないのでそういうスイングにはならないのでしょうね。

ドリルとしては本当にドライバーで上の写真みたいなシャンクっぽくフェースがガン開きの状態でインパクト出来るかやってみればいいと思うのですが(多分そうなると自然に後ろ倒しのインサイドアウト軌道にならざるを得ないと思うのですが)、まぁ正常な感覚の持ち主はそういう練習イヤなんでしょうね。私はインテンショナルシャンクの練習してますけどね。

結論としては、フェース向きを無視して(アドレスで出来た状態を信頼して)、重心角をプレーンに乗せられるハブでスイングすれば多分真っ直ぐ飛ぶと言うことです。

もちろんそれが成立するためのコツというかチェックポイントはいくつか存在しますが、それは今後紹介します。基本的な原理は上記で以上です。やはりバッターはおもりのついた棒を振るのはきっと上手いんです。ただおもりの付き方が違うだけです。一生この事実に気づかない人もいるかもしれませんが。

「逆しなりで飛ぶ」は本当か

ついでなんで、昨今シャフトを「逆しなりさせて飛ばす」という人と、「いや逆しなりは実はしない」「デジカメのCMOSセンサーのアヤでそうみえるだけ」とかいろんなことを言ってる人がいますので言及します。

「逆しなりなんてしない」わけがない

GEARSのデータ解析するまでもなく、物理的には上の説明でわかるとおり物体の運動は慣性の支配を受けますので、構造上シャフトが「しなる」またその反動で「初期の方向と逆方向にしなる」ということが発生しないわけがありません。

ただそのしなり方向は上記の通り重心角の影響を大きく受けますので、フェースを基準に考えれば「重心角が1°でもある限り、逆しなりとトゥダウンは同時に発生している」ことになります。で、GEARSではそれぞれを数値化して確認することが出来ます。

結構動画とかに出ている高名なコーチの方でも「トゥダウンは発生するが逆しなりは発生していない」とか意味不明なことをおっしゃっている方がいらっしゃいますが、海外でそんな事言ったらコイツ発狂したのかと思われますのでお気を付けください。

で、逆しなりで飛ぶのか?

GEARSでは、この議論で言うシャフトの挙動のうちで飛ぶ要素を「シャフトキック」と定義しています。DeflectionとDloopはしなり方向が決まっていますが、どんな方向であれヘッドスピードが上がる方向に作用していれば良いじゃんというわけです。

この計測の方法ですが、まず静的環境でクラブを計測します。つまりこの状態ではクラブは運動状態にありませんのでほぼしなっていません(ちょっとはしなるけど)。で、インパクト時点でのクラブの状態と比較を行います。当然インパクト時点ではクラブはしなっていますので、ターゲット方向にキックした分と全くしなっていない静的な状態のクラブと過程した場合の差分が、シャフトのしなりによってヘッドスピードが増加した量と考えることが出来ます。

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で、それをグラフにすると右上の図みたいになるみたいですが、青線と赤線の差分がシャフトキックによるヘッドスピードの増加量ということになるので、まぁ、あるにはあるけど、ほぼメソッドとしては期待出来ないレベルでしかないと言うことがわかります。

よって結論は、「少しは飛ぶかもしんない」です。

まぁ私が言いたいことは、ゴルフのスイングはクラブや可動部品の慣性とそれに対するゴルファーの反応で出来ているはずなので、「物理」とか言うのであればもう少し物理的な側面から説明をしていただけると幸いだと言うことです。

次回はパターの形状と重心とヒンジアクションについて考察します。

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