ザ・ゴルフィングマシーンを勝手に解釈していくよ

ゴルフ史上最大の奇書と言われる「The Golfing Machine」を勝手に翻訳したのちに独自の解釈をしてゆくブログ。そしてゴルフは信仰へ。とりあえず日本語版の紙本製作まで終わったので今は新たに「Search for the Perfect Swing」を勝手に翻訳中。ゴルフ界の青空文庫を作れたらいいなぁ。

2019年 女子ゴルフ プロテストがどれだけ過酷なのかをまとめておく(その1)

なんの脈絡もありませんがこの情報については今この段階でまとめておくのが最善と判断しましたのでぶっ込みます。今年の女子ゴルフのプロテストについてです。プロテストについては放映もありませんし観戦も出来ませんので結果を追いかけるしかないのですが、現在一次予選が行われているところですので、LPGAの公式サイトなどで状況を確認しながら選手の皆さんの検討を祈りたいと思います。

www.lpga.or.jp

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https://www.golfnetwork.co.jp/news/detail/23656

なぜスーパーアマチュアの安田祐香選手ですら「プロテスト受けたくない」と言っているかがこの記事読むとよーくわかります。

 

大会出場権を得るには?

そもそも数ある国内女子ゴルフのトーナメントですが、どうやったら出られるのかという話からです。

賞金シード

今年で言えば11月21日~24日に行われる、大王製紙エリエールレディス終了時点で、賞金獲得額で50位までに入ると来年度のシード権が獲得出来ます。昨年で言えば50位だった大城さつき選手が2222万円。51位の藤田さいき選手が2186万円でした。18シーズンから大会数も賞金総額も増加傾向ですが、今年もこのあたりが分かれ目になると思われます。このシード権を獲得すれば来年度の出場権が一年確保されます。最も王道のパターンです。

以下のリンクは2018年確定時の(2019年度)シード順位です。

https://www.alba.co.jp/tour/column/article?title_id=264&id=9656

トーナメント優勝

前年度の大会で優勝すると確か2年シードのはずです。ヨネックスの時にキム・ヒョージュ選手が「アメリカのLPGAの規定で日本のQT(後述)に参戦できないので、本大会で優勝出来たら(トーナメント優勝者の2年シード権を使って)拠点を日本に移してゴルフがしたい」と言っていました。残念ながら優勝は出来ませんでしたが。まぁでもトーナメント優勝者はたいてい賞金シードも獲得出来る気がします。

 

主催者推薦

マンデー予選突破、アマチュア枠、スポンサー枠などいろいろありますが、これを使って出場出来るのはアマ資格喪失者とプロ(LPGA正会員=プロフェッショナル会員)の場合は年間8試合までという規定があります。

 

ここまでが優先的に出場が出来るルートで、これ以外の出場権は前年に行われる区降りファイイングトーナメント(以下QT)の順位で決まります。今年からさらにその順位がリランキングというものによってシーズン途中で変化するルールも加わっていますが、めんどうなのでそれについての説明は割愛いたします。

 

クオリファイイングトーナメント(QT)

シーズンオフに来期に出場権の順位を書けて行われるトーナメントです。このトーナメントで確定した順位で、翌年度の大会出場権の優先順位が決定します。例えば120人の大会であれば、シード選手が50人、主催社推薦が20人参加するのであれば、前年のQTの1位から50位までの選手に出場権があることになります。

 

大変化その1

で、何がヤヴァいのかと言いますと、今年からの大ルール変更がありまして

QT参加資格は「LPGA会員(ティーチングプロフェッショナル会員含む)

つまり「プロテスト合格してないとQT受けさせませんよ」ということになりました。実はこれまでは日本のプロテストに合格していなくても、QTで上位に入れば翌年の大会に参加出来たわけです。これまで外国人選手はこの制度を使って、例えば韓国を主戦場にしているけどQTで上位に入れば翌年は日本でプレーするということが可能でした。最近ではアン・シネ選手がそうです。しかし今後はQTだけを受験することは出来なくなりましたので、実質的には日本でプレーをしたいなら日本のプロテストを合格しなければならないことになりました。

なので「実質的な外国人選手の締め出し」ととらえる向きもあります。

また日本の選手でも、これまではプロテストを合格していなくてもQT上位に入れば、登録料(確か50万円/年くらい、けっこう高い)を払ってプロ宣言(アマチュア資格放棄)をすれば翌年の大会に参加して賞金を獲得することが可能でしたが、これも出来なくなります。

よって今年のプロテストには、現在アマチュアの選手の他に、既にツアーで活躍している上記のTP単年登録者で、来年のシード権を獲得出来ない選手が参加する可能性が大です。ちなみにTP単年登録者は一次、二次は免除で、最終プロテストからの参加となります。

極端に言えば、これまではプロテストに合格していようがいまいが(もちろん合格することによる各種恩恵はあるのですが)、基本的に「誰でも参加出来るQTの順位で来年度の出場権が決まる」ルールだったものが、「そもそもプロ以外はQT受けられません」というルールに変わりました。これが1番の大変化です。

 

もちろんこのルール変更は事前にわかっていましたので、例えば三ヶ島かな選手などはTP単年登録で実績もある選手だったわけですが、シード喪失の瞬間に「無職」になってしまうことを恐れて昨年度のプロテストを受験して合格しているわけです。まぁ、同じように行動して昨年合格出来なかった選手もいっぱいいるはずなんですが。

 

大変化その2

というわけでこれまでは申し込みさえすればウチのオカンでも出場できたQTですが、上記の変更の結果で大幅に出場可能な選手が減ってしまいました。

なので、昨年まで四回のステージで行われてきたQTは

2ステージ制になります。

ファーストステージ参加資格者は

・LPGA会員(これまでにプロテスト合格した人。よかった受かっとといて)

・2019年プロテスト合格者(これが修羅場になるって話です)

・2019年プロテスト合格者から2打差までの者(せめてもの救い)

・10月15日時点でロレックスランキング50以内(それでシード落とす人っているの?)

・過去USLPGAで2年以上連続してシード獲得した日本国籍の者(戻って来たいなら実力者に限り認めるという風にもとれる)

 

で、いきなり次がファイナルステージになりまして、その参加資格は

・2019年度のシード選手で、翌年のシード権を獲得できなかった者

・2019年大王製紙エリエール終了時で賞金ランキング56位から70位の者(これの意味はおそらく、来年は55位までがシードになるということと、70位以下になる可能性がある場合はファーストQTから出ておけということではないかと)

・2019年のステップ大会の優勝者

・2019年のステップ賞金ランキング3位から10位の者(1位と2位は翌年シード扱いということだと思います)

・2019年LPGAプロテスト1位の者

・ファーストステージ上位進出者

 

いずれのステージも四日間の競技ですが、まぁ一発は一発です。この大会の成績で来年度の出場権が決まります。

 

ではそのQTに出場するためのプロテストに今年からどのようなルール変更が起きたかと、プロテストにどんな選手が参加しそうなのかを次回まとめようと思います。まぁある程度女子ゴルフ見ている人であれば想像付くでしょうけど、マジでメンツがヤヴァいです。今年のプロテストを合格するってことは間違いなくQTでも台風の目になるはずですが、調子の維持も含めて当事者達は本当に過酷なのではないかと。自分の娘がそういう立場だったらと考えると軽くストレスでハゲるレベルです。

 

次回につづく。

 

ゴルフの本質(その6)

なんかPGAが終わると一週間のリズムが掴みづらいんですが、早いところSPSの翻訳に戻りたいのでこの「本質」シリーズはなんとかあと二回くらいで切り上げたいと思います。とは言えこうした思考実験ってほんとうに役に立つもんだと思います、最近のスコア見てると。

 

クラブは重心角の上下にしか動かさない

しつこく前回までのおさらいです。クラブというのは以下の写真のようにヘッド重心がズレてる道具ですので

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シャフトと重心が一直線になっているプレーン上を動かすのが最もエネルギーのロスが少ないはずです。そしてそれがズレた状態の平面を動かそうとすると、一直線になるように慣性の補正を受けます。以下の図はクリーチャーに向かってこの道具を振り下ろした時に発生する補正減少です。

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そんなんでゴルフできるわけねーだろと私も直感的には思うのでもう少しゴルフっぽい図にすると

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「夢の浮雲」 -真剣道・基道館 稽古日月抄-:晴風少年の袈裟斬り

って全然ゴルフっぽくねーだろナメてんのかって思われるでしょうけど、はいこれ「袈裟斬り」で検索してでてきた画像です。こういう風に斜めのプレーンでシャフトとヘッド重心を同一プレーン上で動かせばなんかゴルフっぽくなるわけです。センスのいい人は、もしこの道具がドライバーだったらほぼフェースもスクエアになっているっぽいことに気づくはずです。ゴルフと違うのは、ゴルフの方がトップでもっと思い切り右を向いているだけです。

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https://www.youtube.com/watch?v=ueP6c9ujb5c

つまりトップから左の太ももくらいをめがけて袈裟切りしてくればいいじゃんって話です。ただこの時の注意点としては、「両手の通り道をつぶさない」ことです。TGMでは「頭頂部と両足の中心を結んだ線がスイングの中心」という意味不明な記述がありますが、これPGAの選手でやると必ず同じ結果になって面白いのですが

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絶対右脚とか右腰が黄色い線より出てこないのですよ。誰でやっても。こんなに腰回しているように見えるのに。そうなるのは要するに左腰を外側に逃がしながら回してるからだと思いますけど、つまりアドレスで想定している両手の通り道ゾーンが確保されたままだと言うことです。ちなみにアダムスコットですらドライバーは少しはハンドアップして打っています。ちなみにちなみにPGA選手で一番ハンドアップが少ないのはあのデシャン坊です。当然と言えば当然ですが。

 

じゃあ「後ろ倒し」って何だよ

最近よく目にするキーワードで「後ろ倒し」というものありますが、重心角プレーンで袈裟斬りが正しいとすると、ダウンで後方に倒してややループさせながらインクラインドプレーンに持ってくるというのはちょっと邪道な気がします。

私がそうした人たちの動画なりを見ていて思うことは、実はそれを言っている人達もそんなに露骨にループしていないということです。アダムスコットはプロなので当たり前のように出来ていることですが、実は左脚伸ばしながら上半身の上下動をおさえてハブの中心をキープしてアタマもほぼ動かさずにプレーンをキープするというのは、ものすごく腹筋や右へのサイドベンドに使う体幹の筋力を必要とします。もう右にお辞儀しながら打つくらいの感覚になるかと。そうしないと黄色い線をオーバーラインしてくるわけです。

おそらくそういうコーチに習いに行っている人というのは、「とりあえずスライス止めたい」くらいしか考えてないと思うのです。そしてそうした方々はたぶん「ボディターン」「手は何もしません」の呪いにかかっているのでメチャクチャ早く右サイドが回転してカットしてくるのだと思います。で、そうした人達に手っ取り早くオーバーラインを止めさせる言葉として「後ろ倒し」という表現が存在するのではないかと思います。それによってハーフウェイダウンで間を作って両手が右サイドより先に抜ける状態を作りやすくしているのだと思います。まぁ失敗するといわゆる「明治の大砲(死語?)」みたいになったり余計に身体が開いてシャンクしたりするでしょうけど、自然の理(ことわり)というか原理原則を一切考えずに処方箋だけを求めればそれも仕方のないことかと思います。

「後方でループをすることが物理的に正しい」という主張にはあまり「物理的」な説得力を感じません。「助走の距離が長くなる」とかもはや小学生が「カーブでは外側の手を回した方が早く走れる」くらい根拠が不明な論評です。私の見方ではマシュー・ウルフですらループではないと思います。アレは大げさな「プレーンシフト」で、そのやり方の方が(彼にとっては)クラブヘッドラグ(ヘッド重心の慣性)を確認しやすいからやっているというだけだと思います。ちなみにマシュー君の場合、上の黄色い線の図やってみると、実はものすごく右脚が真っ直ぐターゲット方向に絞り込まれるのでオーバーラインの可能性がゼロです。

ただプレーンシフトには潜在的な危険があることもTGMでは指摘してますので、特にアマチュアは明確な方向性や決意なく特徴的な動作を導入するのは避ける方が良いと思います。

レッドベターの「Aスイング」はプレーンシフト打法ですが、「A」というのは「Alternative(代替的な)」の略です。言い方は悪いですが「王道ではないけど(例えばどうしてもスライスが止まらないなら)こういう方法はどうだろう」という話です。これは今時のドライバーがデカくなり過ぎなことも関連しているとは思いますが、「では代替的ではないスイングってどういうものだろう」と考える事も必要だと思います。

 

じゃあ三番アイアンはどうやって打つんだよ

実はこれが本題です。現代のドライバーや、ロフトの寝ているクラブの様に重心が後方に寄っている(重心角が大きい)クラブは重心角プレーンで動かしても袈裟斬り出来ますが、今は絶滅した1番アイアンみたいなクラブではもともとアドレス時点で重心がシャフトの真ん前にあることになります。これを重心角プレーンで上げると包丁のように真上に始動することになります。これは絶対にゴルフになりません。

というわけでもう一つ別の要素が加わってくるのですが、そこをパターで説明しようと今回思っていたのに結構な文字数になりましたので今回はここで失礼いたします。

 

ゴルフの本質(その5)

クーラーが直りました。

ここのところ記事の更新が滞っておりましたので、もしかするとブログ主が熱中症をこじらせて死んだのではないかとご心配をしてくださった方々申し訳ありません。なんとか生き抜きました。思えば7月末の梅雨明けからクーラーがまったく機能しないことに気づき8月20日に入れ替えが完了するまで毎日凍らせたペットボトルを抱きしめて寝ておりましたが、どうにか無事に生き延びることが出来ました。なぜか体重も1.5kgほど増えました。生存本能発動したのでしょうか。

そんななかPGAツアーはマキロイが年間王者になりました。地元開催の全英で予選落ちの失意の状況からの年間王者となったわけですが、ずいぶんとドローが穏やかになったというか、時にはフェードまで意識して打っている変化が印象的でした。マキロイと言えばドローでぶっとばすスタイルで席巻してきたわけですが、それだけでは思うような成績が残せなくなってちゃんと時代の流れに対応してきたということだと思います。全米を勝ったパトリック・リードもそうです。まぁ、あのムリヤリなフェードは身体にはよくないと思いますが。このあたり記事の内容と全部つながってます。

 

前回までのおさらい

で、ここからが続きなんですが、前回の記事ではゴルフクラブはシャフト軸とクラブヘッドの重心がズレた以下の写真のような道具なわけですが

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なるべくこのズレが少ない状態、つまりシャフト軸とヘッド重心が同じプレーンにあるようにスイングするのがヘッドスピードを最適化できるのではないかという仮説でございます。

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というかこういう道具を振り下ろすときに、頑張ってねじろうとしても抵抗を受けるに決まっているわけです。逆に言えば、ねじれてしまっている時にこの道具は綱に補正をかけようとしてくるわけです。つまりこのシャフト軸と重心がズレた状態で、クリーチャーに対して真っ直ぐにこの道具を振り下ろそうとすると、そいつらが一直線になるように補正されてしまうわけです。

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でもそれでスイング進行したらフェース戻ってこないじゃんと普通は思うのですが、プレーンというのは傾いてますので、スイング軌道は真上から見ても楕円の軌道になっているわけです。

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おもりを後ろにおいた状態でスイングしているつもりでも、ハーフウェイダウン後半ではそのおもりにかかる遠心力は、おもりをプレイヤーの前方に投げ出そうとする方向に力がかかります。なので、最後までフェースが返って来ないようにスイングすることは、本来構造上では不可能なのです。

ところがまさに「ラグ」なのですが、シャフト軸からおもりが離れた構造であるほど、角運動によって慣性が増幅されるので、

途中まですっごく返って来ないような抵抗を感じる

ことになります。この抵抗が大きい道具ほどダウン後半で返ってくるチカラも強くなります。この感覚のズレが、「やべぇ、こねて返さないと」意識を生むことになります。

もうほとんど初めて補助輪無しの自転車に乗るみたいな話です。気にしないで漕げば自転車は本来倒れないのですが、気になるので足付いちゃって前に進まないみたいな。

 

で、最近こんな練習器具があるわけですが

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これでスイングすると、「途中までものすごく返って来なくて、途中からすごいイキオイで返ってくる」感覚が体感出来ます。これをスイングして

「そうか自分では何もしなくてもこんなに返ってくるものなんだ」

と思うか、

「そうか、これがフェースが返っていく感覚なんだ」

と思うかによって効果はまちまちではないかと思います。とにかくフェースが返って来なくてスライスする人にとっては、フェースターンの感覚をつかむという点では良いのかも知れませんが、私の予想では、スライサーはやっぱりこの道具でもフェースターン出来ないと思いますし、フッカーはこの道具でスイングするとフェース返りすぎて気持ち悪いです。

「なぜ人はスライスするのか」の理由は人によってまちまちであるとしても、

「両手の通り道をつぶさない」

ことがプロアマ問わず必須だと思います。

もう答え言っちゃうと、

「右肩と右腰と右膝がせり出しちゃダメ」

というTGMに口酸っぱくして書いてあることを遵守することが第一歩だと思います。両手の使い方は大事ですが、ゾーン1でこけたらその先はありませんという非情な現実をまず受け止めるべきです。

 

クラブの持ち上げ方

というわけで(どういうわけだ)、クラブの持ち方ですけど、要はグリップでもって重心持ち上げれば効率いいわけですよ。で、バックラインありのグリップを買ってきて、そのバックラインがクラブ置いたときに真上に来るようにグリップ装着すればいいわけですね。

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で、この赤い線(バックライン)を真下から持ち上げるようにすれば重心を持ち上げることが出来ます。ちなみにゴルフプライドの「ALIGN」というのはバックラインが外側についてますので調整がやりやすいです。

ゴルフプライド(GOLFPRIDE) グリップ ALIGN MCC・アライン

ゴルフプライド(GOLFPRIDE) グリップ ALIGN MCC・アライン

 

これをやってみるとわかるのですが、ウッドのように重心角の大きいクラブは、バックラインが目標方向に寄ります。つまりフックグリップ寄りになります。反対にロングアイアンのように重心角が少ないクラブでは、ウィーク寄りになります。

フェースを基準に考えると違和感があるという方もいるかもしれません。もちろんアドレス時点ではフェースをスクエアに構えるわけですが、そのとき上記の方法ではドライバーではややフックグリップ、ロングアイアンはややウィークグリップになりますので(なのでロングアイアンの代わりにユーティリティを入れて重心角のフローをなめらかにするというのも理にかなっていると思います)。

 

でもこれが正しいと思うのです。重心角の大きいクラブ、つまりウッドやウェッジではフェースターンをなるべく少なくしてフェードよりのボールを打つとなればフックグリップの方がやりやすいはずです(フックグリップで積極的にフェースターンをしてドローを打ちたいというのはそもそも根本的に間違っています)。

反対にロングアイアインはある程度つかまえに行く打ち方が適していると思います。

クラブに合わせて打ち方を変えるのは良くないという意見もあると思いますが、実はそんなことは誰でも当たり前にやっていることだと私は思います。見た目が同じに見えるだけで。

 

でフレループについてなんですけど、長重心距離の道具でフェースターンの感覚つかむ練習器具というのはチーピン製造器でしかないと思うのです。今のデカヘッドのドライバーはフェースターンを抑えてスピン量の少ないフライヤーを打つのに適している構造だからです。

さらに言えば、高弾道でランのあんまり出ないボールを打つことが戦略的に必要なのでマキロイやリードがフェードを打とうとしているわけです。

このあたりの環境の話と、クラブによってどのように人は打ち方を変えているのかについては次回に。

ゴルフの本質(その4)

クーラーが直りません。

窓を閉めると室温が50°を超えるので窓を開けないと死んでしまうのですが、それでも外気温より室温が上がってしまうので扇風機と凍ったペットボトルをごろごろ配置してなんとか室温を下げるか水のシャワーを浴びることでどうにかしていますが、ハッキリ言って外の方が涼しいです。

いろいろやらないといけないことが溜まっていることは重々承知なのですが、どうも人間は40°を超えると知的な作業は出来ないのだろうと思います。だもんでテレビを見るという受動的な作業しか出来ないのですが、そんな中「しぶこ」がやってくれました。

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ゴルフネットワークで解説していたのが岡本綾子さんというのもよかったのですが、シニカルな中にゴルフと日本への熱き愛情が詰まっていて、まさにツンデレならぬ

「ツン熱」な解説でした。

最後のパットも世界中が打った瞬間に「強っ」と思ったと思うのですが、入った瞬間の岡本さんの絶叫とか見ていて鳥肌が立ちました。まぁそれでも部屋がクソ暑いことに変わりはありません。

笑顔のプレースタイルとファストプレイが世界で評価されたこともさることながら、記者会見などでもしっかりと質問者の目を見て自分の言葉で考えて発言をする姿勢は、新しい日本人プレーヤーの姿を見たような気がします。思えば15年ほど前、この選手を見たときも「なんとしっかりした清々しい受け答えの出来る選手だろう」と皆さん思ったのではないでしょうか。

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錦織君が強いおかげでテニススクールのジュニアの入会が半年待ちになっていたり、たった一人の選手の活躍でスポーツの業界構造なんて簡単に変わるわけです。十数年前に宮里藍さんの出現があったから今の黄金世代があるわけですが、おかげで「しぶこが勝つならあたしだって」と思っている選手が少なくとも今の日本には二十人くらいはいるわけです。日本の女子ゴルフ界の未来は明るいです。とっても。この期に乗じてなんか私も儲けグチはないものかゴルフ界に貢献できることはないかと思ってしまいます。

 

ところでしぶこも岡本さんも共にソフトボールのピッチャーをやっていて、もちろん打撃も相当のものだったと想像するわけですが、中継の中で実況の方の質問に答える形で岡本さんが「やはり長い棒を振り回すと言うことについて、ゴルフと野球やソフトボールには共通するものがある」と言っていましたね。

 

ここで前回からの流れに見事につながるわけですが、野球出身者でパワーヒッターだった人は、やはりゴルフでも飛距離というかパワーについては抜きん出ている人が多くいらっしゃるわけです。ですがその大半の人に

スゲー飛ぶけどスゲー曲がる。

という事が起きています。基本的にスライスします。なぜでしょうか。

 

バッティングとゴルフスイングの違い

バットというのは

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要するにこういう道具ですよね。

例えば先っちょが地面にぶつからないようにボールをティアップして、この道具の重心をボールにぶつけるようにひっぱたくというのは、そんなに難しいことではないように思うのです。ティーバッティングって練習法ありますし。やったことないですけど。

 

で、問題は、ゴルフクラブは実はこういう道具なのに、その違いを認識してスイング出来ていますかと言うことです。

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この二つの道具を、永久にシャフト軸と球体の重心軸を同一プレーンでスイング出来るのであれば、 つまり垂直に振り降ろすような動作で動かせるのであれば、そんなに両者の間に大きな挙動の違いは出ない(ゴルフモデルの方がしなりは大きくなるでしょうね)と思うのですが、

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ゴルフのプレーンというのはインクラインドプレーン(傾いたプレーン)上で行うので

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ダウンでは上から下に振り下ろす動きと、上の図で言えば背中側から前方方向に振り出す動きがミックスされることになります。

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上下の動きで言えば、切り返しからハーフウェイダウンまでは、両手によってクラブを振り下ろすチカラ+重力で下の方に振り出されます。しかしヘッド重心の慣性がヘッドの移動に遅れ(ラグ)を生じさせますので、いわゆるコック角がほぼ90°に維持されたまま移動してきます。

しかしベルトの直線部分の終わりに差し掛かると、もう両手はそれ以上下方に移動出来ませんので、今度はヘッドの慣性がそれまでの運動の方向を維持しようとしますので、そのまま下方向に移動しようとします。これがリリースの開始になります。

www.youtube.com

再びアダムスコットですけど

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このハーフウェイダウンで重心にかかっているチカラの向きが下方向から横方向に変えられることになりますので、重心角のプレーンで順しなりから逆しなりが発生します。この現象をフェース基準で考えれば、逆しなり(GEARSではDeflection)とトゥダウン(GEARSではDloop)が同時に発生します。

上の写真で見ればわかるとおり、この時点ではまだフェースは思い切り開いていて、なおかつヘッド慣性でそのフェース方向が維持される方向に感じるので、バット感覚でゴルフクラブを振ると、「やべぇ、これ絶対インパクトまでにフェース返って来ない」という以下の写真のインパクトの予感が発生します。

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それに反応して、

(1) ヘッドを強引に変えそうとする

(2) ハンドアップする

(3) リリースがとける

(4) カット軌道になる

(5) ヘッドが余計に返って来ない

などの現象が同時多発してスライス確定になります。要はシャンクの原理とあまり変わりません。

www.golfmechanism.com

実は重心角プレーンで逆しなりしてる時点で(そうは感じられないけど)フェースは閉じる方向に動いてますので、ヘッド軌道を阻害しないように両手をハブのプレーンでスイング出来ればフェイスはインパクトでスクエアに戻ってくるんですが、フェースの感覚でスイングする限り信じられないのでそういうスイングにはならないのでしょうね。

ドリルとしては本当にドライバーで上の写真みたいなシャンクっぽくフェースがガン開きの状態でインパクト出来るかやってみればいいと思うのですが(多分そうなると自然に後ろ倒しのインサイドアウト軌道にならざるを得ないと思うのですが)、まぁ正常な感覚の持ち主はそういう練習イヤなんでしょうね。私はインテンショナルシャンクの練習してますけどね。

結論としては、フェース向きを無視して(アドレスで出来た状態を信頼して)、重心角をプレーンに乗せられるハブでスイングすれば多分真っ直ぐ飛ぶと言うことです。

もちろんそれが成立するためのコツというかチェックポイントはいくつか存在しますが、それは今後紹介します。基本的な原理は上記で以上です。やはりバッターはおもりのついた棒を振るのはきっと上手いんです。ただおもりの付き方が違うだけです。一生この事実に気づかない人もいるかもしれませんが。

 

「逆しなりで飛ぶ」は本当か

ついでなんで、昨今シャフトを「逆しなりさせて飛ばす」という人と、「いや逆しなりは実はしない」「デジカメのCMOSセンサーのアヤでそうみえるだけ」とかいろんなことを言ってる人がいますので言及します。

「逆しなりなんてしない」わけがない

GEARSのデータ解析するまでもなく、物理的には上の説明でわかるとおり物体の運動は慣性の支配を受けますので、構造上シャフトが「しなる」またその反動で「初期の方向と逆方向にしなる」ということが発生しないわけがありません。

ただそのしなり方向は上記の通り重心角の影響を大きく受けますので、フェースを基準に考えれば「重心角が1°でもある限り、逆しなりとトゥダウンは同時に発生している」ことになります。で、GEARSではそれぞれを数値化して確認することが出来ます。

結構動画とかに出ている高名なコーチの方でも「トゥダウンは発生するが逆しなりは発生していない」とか意味不明なことをおっしゃっている方がいらっしゃいますが、海外でそんな事言ったらコイツ発狂したのかと思われますのでお気を付けください。

 

で、逆しなりで飛ぶのか?

GEARSでは、この議論で言うシャフトの挙動のうちで飛ぶ要素を「シャフトキック」と定義しています。DeflectionとDloopはしなり方向が決まっていますが、どんな方向であれヘッドスピードが上がる方向に作用していれば良いじゃんというわけです。

この計測の方法ですが、まず静的環境でクラブを計測します。つまりこの状態ではクラブは運動状態にありませんのでほぼしなっていません(ちょっとはしなるけど)。で、インパクト時点でのクラブの状態と比較を行います。当然インパクト時点ではクラブはしなっていますので、ターゲット方向にキックした分と全くしなっていない静的な状態のクラブと過程した場合の差分が、シャフトのしなりによってヘッドスピードが増加した量と考えることが出来ます。

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で、それをグラフにすると右上の図みたいになるみたいですが、青線と赤線の差分がシャフトキックによるヘッドスピードの増加量ということになるので、まぁ、あるにはあるけど、ほぼメソッドとしては期待出来ないレベルでしかないと言うことがわかります。

よって結論は、「少しは飛ぶかもしんない」です。

 

まぁ私が言いたいことは、ゴルフのスイングはクラブや可動部品の慣性とそれに対するゴルファーの反応で出来ているはずなので、「物理」とか言うのであればもう少し物理的な側面から説明をしていただけると幸いだと言うことです。

 

次回はパターの形状と重心とヒンジアクションについて考察します。

ゴルフの本質(その3)

クーラーが壊れました。

現状ペットボトルに水を入れた凍らせたものを周辺にたくさん配置するという必死の対応で作業をしておりますが、アパートの二回の角部屋は東西南壁と屋根から吸収する熱量が半端ないので、なぜか窓を開けて室温を外気温と同じにするようにした方が涼しいという状態になっております。キーボード打ってても汗がぽたぽたしたたり落ちますので前傾をおさえて上半身を垂直状にしながらお届けしています。

 

さて、そんなわけで作業がまったくはかどらず久しぶりの更新です。

 

ゴルフクラブの形状の意味

 

ゴルフクラブの、ヘッド部の重心がシャフト軸線から外れている構造、それが運動状態にある時にどのように慣性が働くかを考察して、クラブの基本的な振り方を考えてみたいと思います。

 

しつこいですが

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https://www.inside-games.jp/article/img/2015/01/06/83909/542178.html

いきなりこんなのが襲ってきてドライバーで戦えと言われれば

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こうなるでしょう。

 

なんでこの時フェースでクリーチャーをひっぱたけないのかというと、普通にこのゴルフクラブを振り下ろすと、ヘッドの重心はそのプレーン上かつ後方に遅れることになららざるを得ないからです。これがクラブヘッド重心にかかっている「慣性」です。

クラブヘッドが運動状態にあるとき、必ずこの重心にかかる慣性の影響を受けます。

上の写真でフェースがやや左にかぶっているのは、クラブヘッド重心を垂直に振り下ろすとたまたまフェースがそっちを向いてしまうからです。フェースをスクエアに振り下ろそうとすると、重心が右にどけられる形になりますので、垂直に振り下ろす力が強いほどシャフトと重心が一直線状になろうと補正する力が働きます。慣性モーメントというのはこの補正する作用によって、動いている物体の姿勢を安定させようとするチカラのことを言います。

逆に言えば、重心が逸れているクラブの構造では、慣性モーメントが大きいほど上の写真で言えばフェースをスクエアにしたりするのが難しくなることになります。つまりフェースを左にむけようが右にむけようが、運動の速度が大きくなるほどシャフトと重心の移動プレーンは一直線になるように作用が働くことになります。これが慣性モーメントが大きいクラブが曲がらないとされる根拠です。

「フェースをスクエアにしようとしても補正されるのにどうして曲がらないのか」という疑問を持った方はスルドイのですがもう少しお待ちを。

 

ゴルフクラブって要するにこういう道具

今度はクラブを普通に構えてみます。

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でもこの道具って、見た目はこうなりますけど、上の説明でいうところのクラブヘッド重心がどのように配置されているかを考えると

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こういう構造のものを振り回しているのと同じ事になりますね。ガワとしてクラウンやフェースはもちろん目に入るのですけど、上のクリーチャーとの格闘のモデルから考えると、「外側のカバー部分を頑張って動かそうとしても重心の慣性に負ける」事が予想されます。

 

なので「クラブヘッド重心を気持ち良く振る」ことがまず大事で、より正確な言い方っをすれば「クラブヘッド重心にかかる慣性をうまく見方につける」スイングが、最も効率的であり、結果としてヘッドスピードの向上にもつながると思うのですね。

 

つまりここで仮説として提唱しておきたいことは、「ゴルフって要するにこういう道具を振り回す話」ってことです。

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ダウンスイングでシャットに降りてくるとか言うけど

例えばこれ美スイングで有名なアダム・スコットさんですけど

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ダウンスイングでシャフトが地面と平行くらいのところ止めて見てみると

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この時点でフェースに着目するとなんとなくシャットでもオープンでもない良い感じなことがわかります。

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でここに例の構造をトレースすると

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かなりクラブヘッド重心とシャフト軸とスイングのハブが同じ平面上にあるように見えると思いませんか?

 

「そんなんしたらめっちゃスライスしまっせぇぇ!?」

ここまでの説明でそのように感じる方は人間として正常な感覚の持ち主です。だってこのままスイングが進行すると、つまりヘッド重心とシャフトが同じプレーンを保持したままインパクトに向かうと

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こんなインパクトになりますね。

 

よってアダムスコットが写真のドライバーを真っ直ぐ打てているとすると、ハーフウェイダウンの状態からインパクトまでのものすごく短い時間にフェースをスクエアに持ってくるための「何か」をしているということになります。

 

時間にすると、トップからインパクトまでは0.2秒くらいだそうですので、0.1秒もないでしょうね。その間にフェースを約90°近く旋回させて方向性を確保しながら、プレッシャーのかかる場面で思い切りH/S50m/s以上で振り切って300ヤードドライブを連発するようなことを、最近の460ccのバカでかい慣性モーメントのクソ大きいヘッドでもって平気な顔してやっていることになります。

さすがプロですね。

 

アマチュアには絶対ムリでしょうね。

なのでアマチュアは切り返しからフェースを返すようにしてアーリーリリースさせたり、でもタメがないと飛ばないからとか言ってやっぱりハーフウェイダウンまで我慢したり、シャローイングしたり前倒ししたり後ろ倒ししたり、手でこねてハンドアップしたりシャンクしたりもう大変な目に何十年も遭ってるわりに全然飛ばなくて曲がるわけです。

 

でもね、

 

まぁ、私の仮説なんですが

 

プロってそんなに難しいことしているのでしょうか?

 

というかなんでメーカーはこんなに慣性モーメントのでかい(重心角と重心距離の長い)扱いづらいクラブばっか作るんでしょうか。

 

なので、これが最大の仮説なのですが

「もしかしてこの道具ってフェースの向きとか無視してクラブヘッド重心をうまく振ってあげれば、自然にフェースがターゲット向くように出来ている、つまり何も考えずに振ればまっすぐ飛ぶんじゃね?」

と私は考えています。というか本当は確信しています。

 

「ウソつけ!だったらゴルフやったこともない野球の初心者とかが思い切り何も考えずに振ったらまっすぐ行くのかよ!みんなた当たらなかったりスライスとかしてるじゃんか」

 

そうですね。それも確かに事実ですね。でもそれも説明出来ます。クラブはクラブであってバットではないのでバットと同じように振っても当たるわけがありません。

 

続きます。