告知っす!

明日から3日間パシフィコ横浜で開催されます2019ジャパンゴルフフェアでは

www.japangolffair.com

例年「PCM」のユニバーサルゴルフ社が地クラブメーカー多数と共同で「コンポーネントコーナー」として展示を行っておりまして

そこで今年度バージョンの用品カタログも発売になりますが....

その脇っちょで

その世界のほんの片隅で...

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コイツも販売させていただくことになりました。絶対売れないので限定5部です。JGF特典として専用カバーを付けさせていただいてます(それだけかい)。

TGM日本語版を手にとって冷やかすことができるのはこの機会しかないです。何しろ日本にまだ30部も存在していない絶滅危惧種的な書籍なもんで。JGFにお越しの際は是非ユニバーサルゴルフの「コンポーネントコーナー」に立ち読みにお立ち寄りください!

前回続き

図2:3ではなぜこのような事が起きるのかを説明している。この作用は、物理学の法則としてよく知られている「角運動量保存の法則」が発生している好事例であるのだ。

今回ココカラ。

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図2:3 下方のレバーの速度が上昇すると上方のレバーが減速する理由。上の図のように、2レバーのシステムが緑色の円盤状の平面に横たわっている状態(まだこの円盤は回転していない)を「太い実線」のものとして考えてみよう。ここで何らかの作用によって先端が引っ張られると、ヒンジ部分は角度が拡がって後方に引っ張られることがわかる。ここでこの円盤が白い矢印の方向に回転を始めるとする。先端には遠心力で外側に引っ張られる作用が発生し(点線の状態)、システム全体としては白い方向に回転しつつも、ヒンジはやはり拡がって後方に移動する。よって相対的には上方のレバーは円盤の回転速度より減速し、下方のレバーは円盤よりも加速する。

軸を固定した状態の2レバーシステム全体で、トップまでに作りだされるスイングのエネルギー総量の大部分は最終的には下方のレバーの先端の速度を増幅させることにつなげられていく。

よってこのような、中央のヒンジでつなげられた2レバーのシステムが固定された軸を中心に1プレーン上をスイングされる場合、1レバーのシステムよりも遥かに効率的にエネルギーを創出させることが出来る事は明らかである。この結果、理論上では、スイング全体で作り出されるエネルギーのおよそ4/5がインパクトにおけるクラブヘッドに投入されることが可能であり、1レバーの状態で振り出されるシステムに同じエネルギーを投入した場合に比べておよそ2倍もの速度でクラブヘッドを移動させることが可能になる。

上級者のゴルファーを見ればこのような作用が起きていることは明らかではあるものの、この現象にたどり着くことは純粋に科学的な見地からも、以降の研究を進めていく上での必須の条件と言えるのである。

原則論的アプローチによって導き出された最初の「良いスイング」の元もシンプルな骨組みは、固定された中心軸を持つスイングであり、そのスイングは同一プレーン上で行われており、両手の先端が同一プレーン上でヒンジの役割を果たしている状態であり、両手それ自体の筋力を必要としないスイングなのである。

より原則論的なこと:リズム、タイミング、「ヒットレート」

もし両手が自由なヒンジのように機能する際、そのヒンジ自体が何らかのパワーを加えているわけではないのだとしたら、このシステムは大昔に発明された「から竿」とほとんど同じようなものであることに気づく。しかし重要なことは、このヒンジが、スイング全体で作り出されるエネルギーの内、どれだけ多くの部分をロスなくクラブヘッドに伝えられるのかということである。

このことに関心を持つことは、このシステムが機能することをさらに現実的なものにするはずである。そして現実の上級者のゴルファーに起きていることを想起させる。

第一のポイントはこのような軸を固定された「から竿」のシステムでは「適切なタイミング」でそれぞれが動作する必要があるということで、これが最大限効率的に打撃と方向性の確保を行う事でインパクトにおいてクラブヘッドに投入されるエネルギーの量が最大になるはずである。

この極めて伝統的なコンセプトである「タイミング」という概念は科学的原則からも極めて重要なものである。もしこの制御が機能していなければ、下方のレバー(クラブ)は速すぎるタイミングで速度が上昇し、インパクトに達するよりも前に最高速度に達してしまう。よってこれを回避するにはバックスイングの初期において、下方のレバーは上方のレバーよりも遅れた状態でスタートすることが必要になるかもしれない。しかしこれを行うと、クラブヘッドが円運動の外側に振り出されるタイミングが遅れ、スイングの後半まで保持される形となり、インパクトのまさにその瞬間、いやそのわずかに直前に最高速度に達することになるかも知れない。「ヒッティングレート」はもう一つのゴルフ指導における伝統的なワードである。

もう一つのヒンジ

ここでもう一つ考えなければいけないことは、もしヒンジの存在で効率化が達成されるならば、ヒンジをもう一つ追加して3レバーのシステムにした場合、果たしてそれは機能するのかという問題である。

答えはイエスである。二つ目のヒンジが追加されることで理論上クラブヘッドに投入されるエネルギーの量は増えるはずである。しかしその量は極めて微量であり、二つのヒンジを最適なタイミングで機能させようとして同時に操作を行う事は「タイミング」を制御することへのリスクにつながる。このシステムでは実際には、クラブヘッドスピードの増加によるメリット以上に正確性の喪失というデメリットが大きくなる。我々の初期の分析が示す通り、クラブヘッドスピードとは打撃と再現性の正確さがなければ使い物にはならないのである。

このことは、左肘を曲げるメソッド(これによってヒンジを追加している)が多くのプレイヤーにとってそれほど良好な結果をもたらしていないことの一つの理由である。ハリー・バードンがこの方法を提唱し、四回のオープンチャンピオンになり、その時代の最高の正確性をそのドライビングに有していたとしてもである。

ここでもう一つ理解しておかねばならないのは、我々はそのような働きをするものを既に持っていると言うことである。すなわちシャフトのキックである。もしシャフトのしなりが一点で発生しているとすれば(もちろん現実にはそんな事は起きていないが)、ダウンスイングの初期ではクラブヘッドはこのポイントから後方に屈曲し、そこで一定のエネルギーを保持した後、両手のアクションよりも遅れてリリースされることを想像してみよう。実はこうした事は既にクラブで発生しているのであり、単にそれが一点ではなくシャフト全体のしなりで達成されているというだけである。

この追加のリリース反応は、両手の速度の減少をもたらしクラブヘッドが外側に振り出される動作における運動量の伝達に幾ばくかの貢献をしているはずである。どんなシャフトであっても、この保持したエネルギーがリリースされる際の遅れで生じる「たわみ」は観測されるものであり、これが一般に飛距離の少ないスイングスピードの遅いプレイヤーにとってこうした「しなる」シャフトは、ハードヒッターに対してよりも有益性が高いとされる理由である。しかしここで得られる効果は、非常に微量である(第32章を参照のこと)。

ここまでのところで原則的な視点からの機械的システムに関する考察が、機能的なゴルフスイングを構成することに有益であると言うことが明らかになってきた。ここで想定しているモデルをシンプルに機械的な用語で総括すれば「二つの回転軸の組み合わせで作られた二重の振り子構造」ということになる。

このシステムを「モデル」として今後のスイング研究に進む前に、科学者にとっての「モデル」がどのような意味を持つものであるのかを定義しておきたい。

世界で一番くどい二重振り子=ゴルフの説明はまだ続きます。たぶん次でラストです。

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