第十章 二本の腕によるスイングのタイミング

二本の腕によるスイングのタイミングは、フリーヒンジングである左腕一本のスイングとはわずかに異なるものとなるが、それは右腕が供給することが出来るフォースのアドバンテージを最大化するためである。スイングにおけるクラブヘッドの最大速度を早すぎるタイミングで達成しようとしなければ、ボールを打撃する前にクラブヘッドが減速してしまう事態は避けることが出来る。

こうした事態(これは練習でも起きることだが)については、基本的なモデルのフリーヒンジのアクションを観察することで最も効果的に説明を行うことが出来る。

最初の画像10:1は、モデルにおいて最も効率的なフリーヒンジのアクションが行われている状態を表している。ここでは固定されたピボット(O)を中心として二本のレバーが動かされており、このような場合にクラブヘッドが理論上の最高速度にインパクト付近で達する。

10:1 正しい「レート・ヒット」のタイミング

ここで、このピボットにおける二つのレバーに最も大きな真っ直ぐになろうとするフォースがクラブヘッドに働くのは、Xの地点にクラブヘッドが到達する時である。この効果が発生するタイミングによって、クラブヘッドが最高速度に達するタイミングも決定するが、例えば次の10:1Bの図では早すぎるタイミング(abの間)でクラブヘッドが最高速度に達してしまい、インパクト付近(bcの間)では減速に転じてしまっている。

10:1B 早すぎるタイミングのため、クラブヘッドがインパクトよりも前に最高速度を迎えている

従い、ヒンジによって発生するエネルギーからクラブヘッドに追加される速度を最大化するためには、プレイヤーはXの地点よりも後に最大の「プッシュ」を行う必要があることになる。そしてそれは三枚目の図における、Yのあたりであろうと考えられ、さらにXのポジションで出来た角度をYの地点まで確保することが出来れば寄り効率的なスイングになると考えられる。

10:1C Xで発生している角度をYの地点まで保持することによって、インパクト付近でのアンコックを最大化することでクラブヘッドの最高速度を稼いでいる

図からわかるとおり、二つのレバーの間の角度(両手首によってつくられるコックの量)は、ダウンスイングの大半においておよそ90°に留まっている。右腕による追加の押し込みは、スイングにおいて下方のレバーを振り出そうとする際に発生する、自然のアンコックの作用と統合され、インパクトのはるか手前ではなく、まさにインパクト付近でクラブヘッドの最大速度を達成することに寄与したアクションとなるのである。

 

リストアクションを遅らせること

モデルのアクションのタイミングを変化させること、すなわち最も効果的にフリーなヒンジから、最も効果的にパワフルなヒンジへと変化させるには、手首のアンコック(これがより速く、よりパワフルなものになる)がボールへのスイングのなるべく後半まで遅れさせられることが必要となる。このためには、積極的に筋力の関与を利用して、下方のレバーの振り出しを後方に留まらせておく事が有効かもしれない。人間のプレイヤーに関して言えば、プレイヤーは意図的に手首のアクションをおさえ、そして右腕による押し込みの動作を伴いつつ、適切な瞬間までその開放を我慢するということになる。

これはレッスン用語などでしばしば耳にする「レートヒット」あるいは「ディレイドリストアクション」などと呼ばれるものである。

モデルのスイングパターンを感覚として取得していない場合、多くのゴルファーは、右腕で「ヒット」しようと試みるあまり、ダウンスイングの速すぎる段階で押し込みを行ってしまう傾向がある。このような場合、インパクトよりも前にクラブヘッドが催行速度に達してしまう事が考えられる。

スイングにおけるこうした失敗に対する対処法は、単純にコックを最大にした状態を、それを開放するべき自然なポイントと感じる場所よりも長く保持しておくことだ。

通常こうした失敗は、プレイヤーのスイング全体におけるタイミングの順番の感覚に誤解が生じていることから発生している。モデルのシーケンスを学習することはそうしたプレイヤーが目標を再考するための一助となるはずである。

ただしここでの「遅らせる」ことの関しては、非常に短い時間のことを議論しているという点にも注意が必要である。たとえば、これまでの図中のXYの間にはせいぜい50分の1秒くらいの差しかない。これは上級者の証とも言えるが、この程度の差であってもタイミングのズレはその上級者にしてみれば大きな違和感となって現れるのである。

 

タイミングはゴルファーがどのようにスイングしているかに依存する

右腕の押し込みおよびリストアクションの最も効果的なタイミングは、上下のレバーのバックスイングの長さと、クラブを自然にスイングする際のスピードに依存する。またそのことはヒンジにどの程度の強さでオアワーを供給するかにも依存する。右腕に押し込みが弱いほど、リストのアンコッキングを早める必要があり、強くなるほど遅くなる。数多のモデルの分析からこれは明らかなことであり、実際に上級者のゴルファーは必ずこのことを予測している。

例えば、長くしなやかなバックスイングを行う場合、同じ長さでも短く柔軟性に欠けるバックスイングを行う者に比べて、通常はリストアクションを遅らせることになる。ゴルファーの動作についても同じであり、短いバックスイングを行う場合はダウンスイングの早期に「ヒッティング」を始めることが必要になり、このことが「速すぎるヒッティング」を行う傾向があるプレイヤーが、バックスイングを短くすることでボールを適切に捉えることが出来るようになる理由である。長いスイングにおいてアンコッキングアクションが速すぎる場合は短いバックスイングにすることで修正出来るのだ。

トップクラスのプレイヤーの中でも(例えばバーナード・ハントなど)、バックスイングが完了するよりも明らかに速いタイミングでハブを前方にターンさせ、両手を引き込むことによって自動的に右腕のアクションを遅らせるプレイヤーもいる。こうすることによって彼らは左手首の最大のコッキングをフォワードスイングの初期に達成し、結果として非常にパワフルなアンコッキングのアクションを可能な限り終盤のステージに発生するように遅らせる事ができるのである。こうして彼らは「アーリー・ヒット」に対するあらゆる傾向に対抗しているのである。

 

モデルによる実験

このような一般化は常に興味深くまた役に立つものである。しかしこれまでに述べたように、人類のスイングにおける最も効率なアンコッキングのアクションの精密なタイミングは、そのスイング全体の個性に依存していると言って良い。

速すぎるヒットをしているかどうかを確認する全てのプレイヤーにとっての最善の方法は、プレイヤーが可能な限りボールをレートヒットしてみる実験を行い、それによって飛球の質が向上するかどうかを確認することである。もしこれが難しいようであれば、バックスイングを短くして打ってみるという実験でも良い。もしバックスイングを短くすることで飛距離が伸びた場合、それまでのスイングで最大限の結果を得るためにはアンコッキングが速すぎたということであり、これを確認する上で失うものは何もない。

もしこのことが判明したならば、どのような動作を行えばよい調和を得られるかについて学ぶ事が出来る可能性は高い。科学者とトッププロのゴルファー達がそのスイングについての分析を進めると、半分以上のプレイヤーが速すぎる段階でクラブヘッドの最高速に達しており、ボールへのコンタクトを行う前に減速が始まっている事がわかった。

このような場合は、プロ達は他の要因に対しての対応を行っている可能性もある(例えばフックが強くなるという、トーナメントプロにとっては若干の飛距離のロスよりもより深刻な問題への過対応など)。また10:2の図にあるような「遅すぎる」タイミングでのヒットが発生してしまう可能性への対応も同様である。

しかし研究によれば、大半のゴルファーにとって、これまで読み、聞き、あるいは教えられてきた「レートヒット」のアイデアは誤解されており、すなわちそれらの人々のミスショットはリストアクションを遅らせるということに抵抗があり、結果としてリリースを速すぎるタイミングで行う事で発生していることを示している。

よって読者諸君は、とりわけローハンデのプレイヤー諸君にとっては、自分の本来のスイングよりもリストアクションの開放を早めるあるいは遅らせるという実験を注意深く行ってみてほしいのである。これを行う事によって、ダウンスイングの早期に右腕による押し込みについて意識的な活用を行えるようになる可能性がある。

真のスイングを活用するプレイヤーは、完全にターゲットに向いたプレーンでスイングをしているのであり、「早すぎる段階でのヒット」は高いフック、また「遅すぎる」場合には低いスライスを発生させる。

しかしこうした事実を自己分析のみによって解決しようとすることが困難を発生させる場合もある。というのは他の要因がより飛球に直接的な影響を与えている可能性もあるからだ。例えば元来スライサーであるプレイヤーは、常に「早すぎる」ヒットを行おうとする傾向があるが、これにカット軌道が加わると慢性的なハイ・スライスを発生させることもある。

もしこのように複雑な状況に陥った場合はクラブのプロに相談してみるのも悪い解決策ではない。そのプロは2レバーモデルについて熟知しているわけではないかも知れないが、そうした慢性的なスライサーの問題を解決することを生業としてきたのだ。またかれらの全ては貴殿のスイングを見ることが出来るが、君が自分で見ることは出来ないのだ。

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