バークデールのような、ドライバーの次のショットがピッチショットになるホールが1つしかないコースでプロがプレーする場合、50ヤードから130ヤードの距離のショットは、統計的に有意な観測の母数が得られない。とはつまり、それらのショットの優劣がスコアにもたらす影響度も低い。

したがって、ここでの分析にはギャップがあるため、プロがほぼ常に何らかのクラブでフルショットを打つ130ヤードから220ヤードのレンジに飛躍することにした。そうしたショットにここでは「ロングアプローチ」というラベルを付けることにした。

こうしたショットはバークデールにおいて、明らかに特別な意味を持つ。というのも、平均的なドライブを250ヤードとすると、このコースの3つか4つのホール(距離の長い1番、14番、16番、そしてドライブの次がショートピッチになる5番)を除くすべてのホールで、このカテゴリーのショットが必要だからである。これはチャンピオンコースの典型的な例で、これより短いコースでは長いアプローチショットは少なく、130ヤード以下のセカンドショットが多くなる。

バークデールで記録された結果は、同じプロが他のコースでこの長さのショットをプレーした場合の特徴とは限らない。どのようなレイアウトでも、また、必ずしも最長のものでなくても、使用するクラブとの関係で、他のものより難しいストロークがある。しかし、結果の一般的なパターンは バークデールでのプロのプレーの正確なイメージを与えるものであり、それを分析することで確固とした結論が得られるのである。

どのくらい遠くからどのくらい近くに

チームが最初に行ったのは、プロが距離の違いによってどの程度の精度を達成したかを調べることだった。その結果は、ホールから10ヤードの距離ごとにカラムに分けられている。表31:1に、そのパターンを示す。

ご想像の通り、結果は、統計的な若干の変動を除けば、ストロークの距離が長くなるにつれて精度が着実に低下していることを示している。(5ヤードから10ヤードの範囲にグルーピングが現れるのは、0ヤードから5ヤードの「ブル」の面積が5ヤードから10ヤードの「インナー」の面積の3分の1しかないからにほかならない)

読者はこの表から、おそらく自分の長所と短所に応じて、自分自身の「最も興味深い」観察を見つけるに違いない。ショートアイアンが一番難しいと思っている多くのゴルファーにとっては、フェアウェイから8番か9番アイアンで打ったときでさえ、プロが10打に1打でかなり広いグリーンを外したこと、そして、5番アイアンくらいの長さになると、5打に1打でグリーンを外しているという事実を意外に思うかもしれない。

一方で、プロのロングアイアン、またフェアウェイウッドで放たれたショットの半分はグリーンを外れているという事実も興味深いものになるはずだ。このことはプロが一様にピッチングショットの技術を充分に高めていなければならない必要性を証明するものでもある。

ショートホールのティーショット

31:1にはフェアウェイからのストロークのみが含まれている。プレーが記録された4番、7番、13番の3つのパースリーホールはペグティーからのストロークを含み、いずれも高いティーグラウンドから低い目標物のように横たわるグリーンへのストロークであったが、別々に扱った。その結果を表312に示す。

13番グリーンはわずかな高台にあり、手前と左右に斜面があり、エッジ付近のボールはグリーンからこぼれる傾向がある。4番グリーンは平坦である。しかし、面積は13番グリーンより小さく、左から右への風が吹いていた。実際、プロは右から左の風が吹いている13番よりも、4番の方が難しいと感じたようだ。

この大会では、4番ホールが最もタフな結果のホールとなった。4番では半分をゆうに超えるティーショットが、グリーンを捉えられなかった。一方で13番ではおよそ5分の3のショットがグリーンオンしたが、これは13番よりも50ヤードほど短い7番ホールよりわずかに少ない程度だった。

またここで、ティーショットのほうがフェアウェイから放たれたショットより正確性が高いはずだと想像することもあるだろう。これはバークデールだけでの結果を見ればそうはならなかった。つまりパー3ホールのティーショットと、パー4ホールのセカンドショットでは、飛距離ごとの正確性は実質的に同等であった。ショートホールのグリーンの形状にあからさまな難しさがなかったこと、また良く整備され多平らなフェアウェイ(バークデールではほとんどのホールがそうであった)からでは、プロはほぼティーショットと同等の正確性を示したのである。

ヤードごとに一定のストローク

チームはこれらの統計からさらに、予想外の、それでいて実に興味深い発見をした。ショートアプローチと同じように、ストロークの範囲(フェイトウェイからであれ、ティーグラウンドからであれ)と、プレーヤーがどれだけホールにボールを近づけたかとの間には一定の関係があることがわかったのだ。さらにこれは、驚くべきことに、ショートアプローチと同じ関係にあった。

別の言い方をすれば、20ヤードからのチップショットであろうと、220ヤードからのフル2番ウッドであろうと、あるいはその中間であろうと、バークデールのプロはショットの半分をホールから7.5%から8%の距離内に入れたということである。この単純な関係が広く適用できることは、バークシャーでの一流アマチュアと、リトル・アストンでのプロを対象としたさらなる研究によって、バークデールの結果が「まぐれ」でないことが確認された。ここでもまた、グリーンへのロングショットとフェアウェイからのショートアプローチとで同じ関係が保たれ、その割合はプロでは8%前後であったが、アマチュアでは10%にまで上昇した。

不思議なのは、この単純な関係が女子には当てはまらなかったことである。例えば、ヘイリングで開催されたイングリッシュ・レディース選手権に出場した選手のロング・アプローチ・ショットの精度の中央値は12%で、例えば150ヤードの距離から半数のショットは18ヤード以内に寄せられた。しかしショートアプローチではこのパーセンテージは18%であった。従いロングアプローチでは女子選手は男子に比べてわずかに精度が劣るのに対して、ショートアプローチでは大きく精度を欠く結果となったのである。なぜ女性ゴルファーと男性ゴルファーの間の差が、女性ゴルファーが身体的に不利でないショートアプローチ部門で最も大きくなるのかは謎のままであるが、女性ゴルファーにとっての意味は明らかである。

男性ゴルファーであっても、もちろん、このような一定の割合が適用できる範囲には限界がある。約220ヤードを超える距離では、グリーンに届かないプレーヤーが増えるにつれて、その割合は急激に増加し始め、一般的な関係はなくなってしまう。

しかし、それ以外の距離では、この関係が適用される。例えば、200ヤードからだと、バークデールのプロの半分のショットはホールから15ヤード以内に止まり、バークシャーの一流アマチュアの半分のショットは20ヤード以内に止まる。20ヤードからだと、プロの半数は1.5ヤード以内に、アマチュアの半数は2ヤード以内にショットが止まる。

このこと自体、極めて単純であることが注目された。しかし、この研究の最も魅力的な部分は、その後に続いている。

研究チームは、プロゴルファーがさまざまな距離からホールアウトに要したストローク数をチェックした。必要に応じて、ロングショットのホールからの距離と、パッティンググリーンの周りの異なる距離からホールアウトするのに要した打数を組み合わせて計算した。そうすることで、彼らはストロークをした距離とホールアウトに要したストローク数の間に同じように単純な因果関係があることを発見した。

この関係は簡単な式にまとめることができ、ホールから30ヤード以上離れたすべてのアプローチに当てはまることがわかった。

ホールアウトまでに要するショット数=0.0044x + 2.35

(xは残りの距離)

不思議に思ったチームは、さらに分析を進めた。チームは、この関係がゴルフゲーム全体の基本的な真理であることを発見した。というのも、アプローチの範囲を超える距離、つまり220ヤードを超える距離にもこの計算式を適用したところ、記録された4つの長いホールのすべてで、ティーグラウンドからホールアウトまでに何打要するかを、驚くほど正確に予測できたからである。

もちろん、風がホールのプレーの長さに与える影響を考慮しなければならない。大会期間中の風は、強いアゲインストの場合、ドライブで約20ヤードの距離と同等の影響があると思われたので(第28章参照)、8番、12番、16番の長さを短くし、2番の長さをその分長くした。これらの補正をした上で、単純な計算式による予測と実際のホールでの平均スコアを比較したものが31:3の表である。

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