前回の記事は

・アメリカのメシは不味くて高い

・アメリカ人は食事を単なる栄養補給と考えているフシがああるが、食事をレクリエーションの一つとして捉える日本人がアメリカで生活することは結構困難かもしれない

という内容でした。

今回の記事では、ゴルフというスポーツは日本でも非常にポピュラーであり、日本人選手の海外挑戦というのもずいぶん前から行われているのにも関わらず、どうもパフォーマンスがイマイチなのはなんでなのかと。あるいはその障壁を乗り越えるにはどんなことが必要なのかについて考えてみます。

現状は...おかあさん

で、現状このアメリカのメシマズ問題をどのように解決しているかというと、ほぼ「おかあさん」でどうにかしています。

野球のメジャーリーガーであれば早いうちに美味いメシ作ってくれる奥さんと結婚することが理想ですし、女子ゴルフの選手なんかもほぼ「おかあさん」がついていってご飯を作ってあげる...というのが現状です。

韓国の選手などは、子供がスポーツの才能で食っていけるとなると、家族が全員ついていってサポートするというのが普通です。大学などがアメリカはじめオーストラリアやニュージーランドとかに決まれば家族で移住してしまうというケースが多くありまして、このあたり韓国勢の方がゴルフに関しては日本人よりよいパフォーマンスができているように見える要因ではないかと思います。

ただいかにゴルフが個人スポーツであるということを考慮したとしても、昨今のように日本人選手が多く活躍するような状況ではあまり効率的ではないと思いますし、おっかさんも異国で左ハンドルで運転しながら材料調達して選手やスタッフのためのご飯つくってくの安全性から考えてもサスティナブルじゃないよねと思ってしまうわけです。

日本ゴルフ界に必要なのは「優秀なスタッフ」

選手の実力は上がってきていると思うのです。女子は毎年誰かがメジャー勝つくらいになってきましたし、男子もPGAツアーにランキングで出場できる選手が増えてきたわけです。

そうなると今後大事になってくるのは、選手以外の「スタッフ」がどれだけ育ってくるかだと思うのです。

野球で言えば私が子供の頃の日米野球なんて、日本はてんでアメリカに歯が立たなくて、ちょっと一線級の選手が来るとバカスカホームラン打たれてファミスタで「ばぁす」とか「ほうなぁ」がバントでホームランするような時代があったわけです。

そこから野茂英雄が渡米して活躍したのが30年以上前で、当初は「スター選手が海外行くと日本のプロ野球が盛り上がらない」と言っていた企業のフロントも、「もしかして日本人はピッチャーとしてはまずまず使えるかも」という認識がアメリカで広がるようになると少しずつ海外移籍を認めるようになり、イチローや松井など野手の活躍もあって少しずつ日本とメジャー球団の間にパイプができて現在の大谷翔平につながっているわけです。

サッカーも私が子供の頃なんか「ワールカップで優勝」なんて「あぶさん」の「親子でホームラン」くらい非現実的なキャプテン翼ファンタジーで、それがJリーグができてそれまで実業団だった各企業が努力して海外とのパイプもできて現在に至るわけです。

私なんか新卒で某自動車メーカー入って海外部門にいましたけど、日本のサッカーの育成ノウハウはほぼドイツのシステムの丸パクリですが、それはドイツの自動車メーカーとの提携という商業ルートがあってからのコネでできたもので(なのでJリーグ初期はドイツの選手が多かったのですけど)、後年とある選手がオランダ一部名門チームで海外デビューできたのも、そのドイツの会社と合弁でオランダに自動車工場を作ったりしてて政府ともコネがあったとかそういう裏話があるわけです。才能だけでは(才能あったけどこの人)日本人なんか相手にされない時代だったんですよ。

野球・サッカー双方に共通しているのは、高校、大学、実業団、プロという選手のキャリアパスというか、育成ルートが存在していて、競技レベルの向上とともに各ルートの監督やらスタッフやら経営陣やらが少しづつ海外とのパイプを作ってレベルが上がってきたわけです。最近ではテニスやバスケ、バレーなども同じような形で実力が上がってきているように思います。

ところがゴルフはどうも高校大学でてプロテスト受かればなんとかなるけど生活できるのかはっきり言ってよくわかりません。

たしかに女子のプロスポーツに関して言えば、ゴルフは賞金がかなり高い方だと思うのですが、じゃあゴルフでプロ目指しましょうよりも、実業団できっちり社会人経験積めるスポーツと比べると意外と結構リスキーな人生設計にならざるを得ないわけわけです。

男子なんてプロテスト受かっても生活できるかは全然わからないレベルで、これだと野球やサッカーに流れるのは当然だよなぁと思うわけです。

壮大に論点が拡散してますが、要するに「個人行動」では限界があるということです。

よって今現状、個人プレイの結晶で日本人選手が海外である程度戦えているうちに、日本PGAなりJGAと企業とで育成から課外進出までをサポートしていける体制を整えなければなりません。

手始めに日本人選手スタッフ全員分のメシつくるスタッフを派遣しましょう。ツアーを一緒に転戦して、選手が練習や試合終わって帰ってくると、ホテルのどっか一室できちんとしたメシが食える仕組みを整えましょう。なんならメディカルスタッフも同行して身体のケアもしましょう。選手やらコーチやら家族やらで、日本人だけでかなりの人数になるなら、移動もプライベートジェットでチャーターしちゃえばロストバゲージだのクラブが折れるといった事態もなくなるでしょう。

そうして選手以外のスタッフの能力が上がってくると、次第に「日本人はいったい何食ってんだ」とか現地の人間も気になってくるはずです。そうやって少しづつ「日本式」が認められるようになって、現地とのパイプができていって、ジュニアのうちから渡米してみたいな選手が増えてこないとけっこうしんどいと思うのですね。

「企業とゴルフ」のありかたの変革

この問題の本質は、いまだに多くの企業がゴルフというスポーツを「接待の道具」と考えているということにあると思います。企業と日本プロゴルフの関係は、大会という「興行」のスポンサードであり、つまりコンテンツ買い切ってプロアマに関係者呼んで、所属契約の選手にホステスさせてるだけです。

これは有名アーティストをCMに出して、そのアーティストの全国ツアーという興行をスポンサードしている関係とほぼ同じです。取引先にチケット配ったり、シークレットライブやら打ち上げやらに招待して接待に使うのと同じです。

もちろんそれでも「そうしてスポンサーがつくから賞金が出せて選手に回るんじゃないか」といえばそうなのですが、この構造は「すでに育った選手にはお金がつくけど、選手を育てることにはお金が回ってない」状況とも言えます。

他のスポーツと比較すればわかるように本来企業にお金出して欲しいところは「ノンプロの育成」なのです。例えば高校大学出てプロになりたいけどイマイチプロテスト受からない選手は、とりあえず企業に就職して実業団やって、いずれプロテスト受ければその時に改めて所属契約結ぶとかそういう支え方が望ましいわけです。そのためには教会が現状のスポンサーに訴求してノンプロの社会人リーグをTGLフォーマットで作るとか、そういうビジョンが必要ではないかと思います。

そうやって企業がゴルフをスポーツとしての文化として認識してくれるようになれば、プロテスト受からない(プロでも芽が出ない)若者のキャリアどうなるんだ問題もある程度解決されて、ゴルフの裾野はもっと広がってくると思いますよ。

 

 

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