パットの強弱を測るという重要な要素

また研究チームは、ホールアウトする際の方向性と強さのどちらが重要になるかの比較についても確認を行った。統計的にみて、ホールから4ヤードまでの距離においては、プロは弱すぎて大きくショートさせる、あるいはカップインしないほど強すぎるといったミスをほとんどしないことがわかった。

しかし、それ以上の距離では、一部の読者が想像しているとおり、パットの強さを測ることが次第に重要になり、10ヤードほど離れたところでは、パットを正しいラインに打つことと同程度、ホールアウトのための重要な要素になることわかった。

ロングパットの強弱の重要性はゴルファーの間では常識であり、もちろん、傾斜のあるグリーンでは、強弱と方向性は相互に影響し合っている。しかし、パットの強さが、パットの距離が長くなるにつれて、パットがカップインする確率を決定する上でますます重要になっていくことは、興味深いことである。

イギリスのプロはアメリカ人よりパットが下手ではない

チームが行ったもう一つの興味深い比較は、バークデールでのパットの水準と、1963年から1966年までの4回の全米オープン選手権でのパットの水準との比較であった。

これらはジャック・レディによって記録、分析され、196411月、196511月、196611月のU.S.G.A. ゴルフジャーナルに掲載された。レディの距離の計測方法はG.S.G.B.のチームとは異なっており、2つの研究間の観察方法の違いとともに、その結果を比較する際に小さな問題が生じる可能性があることが考えられた。しかし、G.S.G.B.チームは、Rレディの結果と直接比較できるように数値を調整した(表294)。

この比較から、バークデールのプレーヤーは、全米オープンの最終日の予選を通過した約50人のプレーヤーと同程度にパットがうまく、4フィートから12フィートの範囲では、アメリカの150人のフィールド全体平均よりもかなり優れていることに疑いの余地はない。

バークデールではほとんどの選手がイギリス人だったので、一般に言われているアメリカ人のプロゴルファーの方がパッティングが安定しているという通説とは矛盾しているように思える。しかし、グリーンの状態や性質がパフォーマンスに大きく影響するため、このような比較が完全に正しいものであると確信できるわけではない。1963年の全米オープンのグリーンの難しさは当時広く報道されたが、実際、アメリカ人の成績が年ごとに変動しているのは、グリーンの難易度に依存していることを裏付けている。例えば、4フィートから7フィートの範囲では、パットのカップイン確率は、低いもので48%(1963年)、高いもので64%(1965年)、4年間の平均は58%であった。

G.S.G.B.チームは、19654月にサンドイッチのプリンセスで開催されたシュウェップスPGA選手権でパッティングの研究を繰り返したが、同じ効果があった。多くのプレーヤーがグリーン上での難しさを訴え、それがそのまま結果に反映され、他のどの研究結果よりも悪い結果となった。

アマチュアがプロと同じようにパットすることもある

ハンディキャップ2以上のアマチュアのバークシャー・トーナメントでのパットに関する同様の研究は、彼らの水準がバークデールのプロとほとんど同じであるという驚くべき結果を明らかにした。その比較は表29 : 5に要約されている。全国レベルであるとはいえ、アマチュアが最高のプロと同じようにパットができるとは思わないし、この結果にはグリーンの状態が部分的に関係しているとしか思えない。グリーンの状態は、データを記録している観測員からみても、確かに非常に読みやすく見えたようである。

レディースパッティング:思ったほど良くはない

一流のレディースゴルファーのパッティング(とショートゲーム全般)が一流の男性のそれと比較してどうなのか、専門家の意見は決して一致しない。

29 : 5の右端の欄は、ヘイリングゴルフクラブで開催された1966年の英国女子選手権のパッティングの結果をまとめたもので、とりわけロングパットでは、女性は男性に比べてそれほど優れていなかったことを示唆している。

この1組のみの結果に基づいて、絶対的な確証をもってこの結論を導き出すのは公平ではないかもしれない。ちなみに英国女子選手権に出場している選手はハンディキャップ9以下の選手であり、「最高レベルの女性ゴルファー」として見なされるべきではないかもしれないし、少なくとも、ダンロップマスターズやバークシャートロフィーの出場選手(ハンディキャップ2以下)のプレーヤーがそれぞれ最高の男子プロとアマチュアを代表していることと同等と見なすべきではないだろう。

さらに、ストロークプレー競技(分析したすべての男子トーナメントと同様)とマッチプレー競技(女子トーナメントと同様)のパッティングを比較する場合、その比較の妥当性について不確実な点があることを考慮すべきだ。例えば、マッチプレーで "two for it2打で勝利できる)”場合、10フィートほどのパットをカップインさせようとしないかもしれないし、"this for the half(入れて引き分け) "の場合であれば、20フィートや30フィートの距離から、どれだけのオーバーも厭わない強さでカップインを目指して打ち込んでいくだろう。

しかし、分析では、これらの状況が指摘され、いくつかの対応と調整がなされ、また、マッチプレーにおいてコンシード(OK)を出されたショートパットについても調整された。その結果、このトーナメントの女性プレイヤーの平均では、少なくとも3パットの頻度が2倍で、ロングパットの残り距離が弾性ゴルファーの2倍だった点で、最高の男性ゴルファーよりもパットが悪かったと言えるようだ。

トーナメントで7ストローク:優れたパットの選手と、非常に優れたパットの選手の違い

29 : 6で比較で比較しているのは、バークデールで1位から9位までに入った選手のパッティングと、下位9位に入った選手のパッティングのスタッツである。

これらの表の数字と、ファーストパットの長さに関するいくつかの計算から、上位9選手が「パッティングの良さだけで」下位9選手に何ストローク獲得したか、つまり、グリーンまでのプレーが同じだったと仮定して(もちろんそうではなかったが)その差を正確に計算することが可能である。

この結果、1ホールあたり0.1ストローク、つまり1ラウンドあたり1.8ストロークということになった。

この差は小さいと思うかもしれないが、実際のスコアと照らし合わせると、そうでもないことに気づく。トップ9とボトム91ラウンドあたりの平均スコアの差は、72.6ストロークと76.7ストロークの差で、実に約4ストロークに過ぎない。つまりここで生じている差の半分近くは、パッティングの結果である。

例えば、優勝したル・グランジが下位9位までの選手と同じパッティングをしていたとしたら、7打多くストロークしていたことになり、これは大会では14位の成績であり、賞金も2,000ポンド(優勝賞金)のかわりに40ポンドになっていたはずなのだ!

良いパッティングから得られる大きなゲイン

このように、バークデールで行われたマスターズトーナメントの調査によって、プロのスコアアップには、他のプレーがいかに優れているとしても、パッティングがいかに優れているかがスコアのために重要であることがはっきりと確認された。

次のステップは、他のプレーを変えずに、パッティングの水準を大幅に向上させることによって、スコアにどれほどの違いが出るかを評価することである。

例えば、どんな距離でも精度を2倍にする訓練ができたとしよう。つまり、どんな距離でも、以前の残り距離の半分の距離でホールアウトしていたのと同じようにホールアウトすることができる。つまり、6ヤードからなら、3ヤードと同じようにホールアウトし、3ヤードから外したものと同じようにホールの近くに残すことができるとする。

結果や表などの計算から、これに対する妥当な答えを導き出すことが可能だ。バークデールの平均的なプロにとって、このような改善は1ラウンドの平均スコアを4.2ストローク減らすことになり、40人中35位でフィニッシュした人を1位に押し上げるのに十分なものであった。

これは大会四日間の72ホールで17ストロークものスコア貢献に該当し、既にパッティングの技術が一般的なゴルファーよりも高い水準にあるプロにとって、驚異的な成果であることは明らかである。しかし、これは、最高峰のプロだけを集めたマスターズにおいて、上位9人と下位9人のパッティングの水準の差の2倍強に過ぎないのである。

もしある選手が、このような取り組みを25%でも達成することができたならば、四日間での平均ストロークで言えば4打を縮めることを意味する。そして、ゴルファーなら誰でも知っているように、週ごとに、あるいはラウンドごとにパッティングの水準が違えば、18ホールのスコアに6ストローク以上の差をつけることは、実際の経験上、極めて容易に起きうることである!

おそらく、ほとんどのプロが知っているように、パッティングの不調から1ラウンドあたり5打も損をしてしまうようなラウンドを避けるために、高い水準のパッティングの安定性を維持し、悪いパットのラウンドを減らすことで常にスコアを作れるように実質的な改善を行うことがカギとなる。またその日によってパッティングの水準が異なるローハンデの週末ゴルファーの場合、バークデールの実験が明らかにしたグリーン上のパフォーマンスを改善させるための取り組みは、控え目に言って難しいものになるだろう。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事